「流れに従って、流れに任せず」
「流れに従って、流れに任せず」という禅語があります。
これは、相場をやっている私達にとって、実に味わい深いものです。あの道元禅師は、いつも「柔軟心」を説かれていたそうです。水のように柔軟にして、初めて隅々にまで沁み透ることが出来るのですが、同時に、流れに従いつつも、流れに流されないようにしなければならない、と説いておられます。
相場をやっていて、「希望的観測を持ち過ぎてはいけない」とか、「損失をこれ以上出せないと恐れてはいけない」とか言いますし、私自身も、ブログやセミナー等で語ったりしています。
しかしながら、考えてみれば、感情をコントロールすることは至難です。そもそもが、人間が本来持っている煩悩の流れに抵抗することは難儀そのものです。大事なことは、その流れに従いつつも、それを飼いならす努力をすることではないかと思います。
と言っても、これ自体もかなり難しいことです。雑念が生じたら、それに拘ってはいけない。雑念をなくそうとしたら、雑念にがんじがらめにされてしまうからです。
人は、一般に、煩悩や執着心をコントロールしようと努力を積み重ねるわけですが、恐らく、「柔軟心」を身につけることが大事なのではないかと思います。相場をやっていて、予期せぬ急変が生じた時に、どう対処するか、大きなテーマです。
ポジションを持っていなければ、何とでも言えるのですが、自分の可愛いポジションがあると、簡単には事が進みません。こんな時、自分が拠り所としているもの、自分が絶対的に信じているものがあれば、救われると思います。私の場合、揺れ動く「ファンダメンタルズ」ではなく、しっかりとしたテクニカル分析の確立に力を注いだのも、このことが理由です。
ですから、あの一目均衡表理論を創始した一目山人翁が、何故、仏教に傾倒し、特に「歎異抄」を愛したのか、何となく分る気がします。私も、「一目均衡表」原本を初めて手にした時、何て仏教用語が多いのだろうとびっくりしたのを覚えています。そして、手当たり次第、分りやすく書かれている仏教書を探しては読んだものです。
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