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マーフィーの日々是好日

人間とは、本来、非合理的な行動をするもの

以前、人間の非合理的な行動パターンを題材にしたテレビ番組がありました。私達人間が、普段、如何に非合理的に行動しているかを教えてくれる、非常に示唆に富んだものでした。

米国のある大学で学生たちを無作為に2つのグループに分けました。一方のグループには、カップがプレゼントとして与えられました。米国にはよくあるタイプのカップで、大学のロゴが入っているものです。そして、2つのグループの間で競売をやることにしました。

目的は次のことでした。

1)つい先ほどカップを手にしたグループの学生たちは、お金をいくら払ったらそれを手放す気になるのか。

2)カップを持っていないグループの学生たちは、カップを手に入れるのに何ドルなら払ってもいいのか。

結果はどうであったかと言うと、カップの所有者は平均して5.25ドル以下では売ろうしませんでした。カップを持たない方は平均して2.75ドル以上では買おうとしませんでした。

何か(大したものでなくても)の所有者になった者は、その物の価値が、それを持たない人が考える価値のおよそ2倍にもなったということです。どうしてこのような結果となったのでしょうか?

これは心理学用語で「保有効果」というものだそうです。すなわち、自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる現象のことです。まさに、「非合理的な行動」を人間はとる傾向にあるようです。

このような行動をとる原因として考えられるのが「損失回避」という心理です。あるものを得ることに伴う効果より、今持っているものを失うことによる痛みの方が大きいと感じられるというものです。やはり、人間の「非合理的な行動」の1つと言えます。

この人間の非合理的な行動パターンが、世の中では、様々に利用されているようです。例えば、車のディーラーなどで、新車の値引きよりも、それまで所有していた車の下取り価格を高めに設定することでより有利な取引をするといったものがあります。これなども、「保有効果」がある為、自分の車を安く手放したくないという心理効果を逆に利用するといったものです。

このように、私達人間というものは、日常、如何に非合理的な行動を知らず知らずのうちにとっているのかを知っておくだけで、客観的に自分を見つめることが出来るようになると思います。

相場でも全く同じように、如何に私達が非合理的な行動をとることで、損失機会を増やしているかということを知っておく必要がありそうです。例えば、今回の具体例に近いものとして考えられるケースは、自分が持ったポジションに大きな価値があると過信してしまうことです。

一旦、自分があれこれ考えた挙句に造成したポジションを少々のことではカットしたくならない心境にあるとすれば、それは、まさに「保有効果」と言うものでしょう。敢えて説明するまでもなく、どうするのが正しい判断なのか、少し頭を働かせば分かりそうです。とにかく、人間の持つ不合理な行動に振り回されて、間違いを犯したくないものです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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