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マーフィーの日々是好日

赤信号、皆で渡れば怖くない?!

人間社会だけでなく、動物の社会でも、大勢で一緒に行動していると無難に過ごせ、手堅い結果となることは多いようです。もちろん、だから幸せかどうかは別問題ですが・・。

一方、投資の世界では、皆と一緒という発想は危険です。早い話、皆が買っているから自分も買おうという考えで相場に入っていくと、ほとんどの場合、損をしてしまいます。これは私も何度も経験したことですが、同じチームの中で全員が同じ方向のポジションばかりとなっている状況では、大抵は相場が逆向きに動いたのです。

実際の話ですが、私が勤務していた邦銀の本店内で、私が属した外国為替チームでディーラーのポジションが一方向に大きく傾くと、チーフディーラーがわざと逆向きのポジションを造っていたくらいです。さすがチーフディーラーは凄いなと思いましたが、チーム全体の収益責任がある人ですから、自分なりに当然の判断をしていたのでしょう。

いずれにしても、相場の世界では、「皆一緒に〜」というのは非常に危険だということです。よく、「私はへそまがりですから」と言って、半ば自虐的に自己紹介するトレーダー(ディーラー)がいますが、本人は、実のところ、かなり自分の腕に自信のあるであるトレーダーであると思われます。

繰り返しになりますが、相場では、常に「多数派」に属することは、えてして成績が良くないことが多いのは事実です。だからと言って、いつも、自分の友人、知人が持っているポジションの逆向きのポジションを持っていれば良いのかというと、そう単純なものでもありません。

ただ、少なくとも言えるのは、自分が「少数派」に属しているからと言って不安にならないくらいでないと相場の世界ではなかなか生き残れないということです。むしろ、「少数派」に属していることに喜びを感じるくらいであると理想的だということです。

もっとも、いちいち他人の相場観を聞いたり、ポジションをチェックしたりすること自体、非生産的なことです。とにかく、自分なりに確立された「相場判断基準」なり「トレード技術」を持っていて、周りに振り回されず、それに従い続ける信念があれば充分だということです。

ここで、実際の相場に関して具体的な話を1つ書いてみたいと思います。以下、上昇相場についての考察です。

強い相場は、強い状態であり続ける。すなわち、大した「押し目」なく上昇するということは、先ほど書いた点と大いに関係しています。

つまり、相場は、大きく上昇する。逆に、一旦、「押し」を入れると上値重くなりやすい。たとえば、スーパーボリンジャーにおいて、終値が+2σラインをキープしている相場は、終値が+2σラインをキープするかぎり、走る相場となり、終値が+1σラインをキープしている相場は、終値が+1σラインをキープするかぎり、巡航速度の上昇トレンドであり続けます。

その一方で、一旦、終値が+1σラインを下方にブレイクすると、さらに上値が重くなり、調整局面に入る。そして、終値がセンターラインをブレイクすると、さらに軟調な地合いとなり、調整が本格化し、−2σラインを目指します。

また、遅行スパンが陰転しないかぎり、基調としての上昇トレンド継続となるものの、上値重い展開となり、乱高下の様相になりやすいのです。

要するに、何を教えてくれているかというと、少数だけが買える(押しが浅い)相場は大きく上昇しやすい。大多数が買いやすい(押しが深い)相場は上昇しづらい、ということです。大いに示唆に富んでいるという点、ご理解して頂けると思います。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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