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マーフィーの日々是好日

「快楽と痛みの原則」について

「今週もお疲れ様でした。」という言葉がありますが、実は、この「お疲れ様」という言葉は、何とも不思議な響きがあります。

と言うのも、もし、トレードしていて疲れるぐらいならトレードなどしなければ良いわけで、トレードしていて楽しい、もしくは、充実感があるからトレードしている人が多いと思うので、本来は、この場で用いるには適切な言葉でない気がしています。もちろん、いくら充実した時間をトレードで過ごしていても、肉体的には疲れることがあるのが事実であり、特にFX(外国為替相場)をトレードしていると、1日24時間、平日は月曜日の東京時間早朝から土曜日の明け方(NY引け)まで延々と続いている相場だけに、真剣にやればやるほど心身共に持たないかもしれません。

それでも、個人的には、1週間が終わると「ああもう終わってしまった。これで2日待たないとマーケットが始まらない。」と思ってしまうのです。もちろん、トレードで損をすることもあるわけで、そんな時は、正直、やや疲労感を覚えるのは事実ですが、しばらくすると、「月曜日が待ち遠しい」となるのです。

確かに、相場には、似た動きはあるものの、一瞬一瞬の展開に際して、その度毎に、心が新鮮な気持ちになります。そして、過去と全く同じ繰り返しではなくても、こう展開すればああなる、ああ展開すればこうなる、という風に、自分のストーリーを作り、果たして、相場がそのストーリーに沿って推移していくのかどうか、まるで「サスペンスドラマ」のように固唾を飲んで見つめるという感覚になることがあります。

そして、この自分のストーリーを作るベースとなる判断は、自分なりに構築した「ルール」であるのは言うまでもありません。実際、直観的に感じる場面もないわけではありませんが、それとて、過去の経験から導き出された推測に基づいており、決して場当たり的ではありません。

もし、場当たり的な感覚だけでトレードしていれば、よほどの天才でもなければ、大損するのは時間の問題です。何故ならば、並の人間というのは、その行動パターンがトレードでは損をするように出来ているからです。


■さて、人間が行動するに当たっての共通の動機について、著名な経営コンサルタントであり、成功コーチであるジェームス・スキナー氏は、「人間は常に痛みを避けて快楽を得ようとしている」と言っています。人間が日々実現している行動は、全て、この原理原則から生まれてくるのだと言うわけです。

まさに、「快楽と痛みの原則」というものです。

スキナー氏曰く、この「痛み」と「快楽」を指す言葉は沢山あります。孤独、飢え、不快、退屈、憂鬱などは痛みの別名です。そして、喜び、エクスタシー、自信、達成感などは、快楽を言い換えたものであり、 最も基本的なレベルでは、全てが同じだということです。

この「快楽と痛みの原則」をトレードに当てはめて考えると、「痛み」は損失であり、「快楽」は利益になります。つまりは、損失を避けて、利益を得ようと行動するわけです。実際のところは、損失の実現を先延ばしにし、利益を早く確定しようとすることになります。とどのつまりは、「利小損大」がもたらされるのは必然的とも言えましょう。

投資に関する一般書籍でも、「利大損小」だとか、「利小損大」とよく言われますが、決して、投資の世界やトレードについてのみ当てはまることではないということです。つまり、人間本来の行動パターンに基づくものだと理解すれば、充分に納得のいくものだと言えましょう。だとすれば、人間の持つ喜怒哀楽に忠実に、人間らしく振る舞って行動していけば、トレードにてどのような結果となるかは、自ずと分かります。

結局、人間が人間らしく振る舞えば、ほとんど誰もが「利小損大」になるのです。決して悲観的になる必要はないのですが、一人の人間として、自分の弱さを認めることはとても大切なことだと思います。私たちが相手としている相場を知る前に、まずは、自分を知ることが大事であるという考えも出来ると思うからです。


■上記のような生身の人間が集まってくるのが相場の世界であることから、このようなことが言えると思います。それは、「欲が強過ぎると、トレードでは負けてしまう」ということです。

すなわち、勝ちたいという意識が強いと、どうしても良くない結果を招いてしまいがちだということです。上記で「利小損大」の説明の際に書いた通り、勝ちたい為に分かり辛い相場に対してでも無理してポジションを持ってしまう、そして、自分のポジションに固執してしまう、相場が自分の思惑と逆方向に動いても敢えて無視して自分の相場観に執着するという最悪の結果を自ら招いてしまうのです。

それでも、自分なりの「トレードルール」を持っていれば、失敗トレードをしても、修正することは比較的容易です。「トレードルール」に従って、再度、ポジションを構築すれば良いからです。つまり、ある判断基準(「トレードルール」)に従って、ショートポジションを持ったとして、自分の思惑と違う展開、すなわち、実際の相場が下落せずに上昇したとします。

この場合は、相場が上昇する中で、自分の「トレードルール」がロングポジションを持つことを示していれば、ただ単に、ショートポジションからロングポジションに転換することになります。最初に取ったショートポジションが失敗トレードに終わったとしても、相場のトレンドを判断する上での「根拠ある判断基準」を持っているのであれば、いくらでも修正が効くわけです。ところが、「根拠ある判断基準」を持たずに、主観的な感覚だけでマーケットを読み込もうとして、マーケットに挑んでいく場合は、失敗トレードの繰り返しにつながってしまう可能性が高まるでしょう。

ここで、再び、ジェームズ・スキナー氏の言葉を借りると、「人生には成功する経験と学ぶ経験の2つしかない」ということです。スキナー氏は、発明家エジソンが電球を開発した時の例を出して説明します。エジソンは電球を開発する為に何千回という「失敗」をしたのですが、エジソンはそれら「失敗」を「学び」だと認識したのです。

つまりは、うまくいかなかった時は、アプローチを変えれば良いことを教えてくれたわけであり、全ては、成功するに至るまでの過程における「学び」であるとしたわけです。言い換えると、失敗すれば、すぐにフィードバックする習慣をつけ、自分のアプローチを変えていけば、やがては成功に至るということです。改めて、トレードについて言うと、自分が今現在従っている「トレードルール」が間違っているかどうか、常にフィードバックする習慣をつけておけば、次なる局面にて、修正を加えることが出来るようになります。

ましてや、自分が既にしっかりとした「トレードルール」を構築しているのであれば、自分が行ったトレードを振り返って、果たして自分はきちんと「トレードルール」に従ったのかどうか冷静に振り返る必要があります。と言うのも、往々にして、「トレードルール」を途中から無視してしまっているケースが多いのが実情のようだからです。

そして、その時点で自分が持っている、市場の動きと逆向きのポジションを何故造ってしまったのだろうと、いつまでも悔むことに終始してしまうのです。これでは、一向に前に進むことはありません。反省すべきは、自分が設けた「トレードルール」に従ったかどうかであり、その日の損益にあまりにも拘り過ぎるのは、逆効果だということです。


■上記の点に関してですが、一般に、その日の収益目標を決めて相場に入る人がいます。世の中には、今日はいくら稼ごうとか、損失はいくらまでに抑えようということを事前に決めてマーケットに参加することが良いと思っている人が意外と多いようです。それを良しとする相場指南書が存在していることも背景かもしれません。

しかし、これでは、自分の都合を全面に押し出し過ぎることになり、目の前で起こっている相場変動に対して機動的、柔軟な対応が出来なくなってしまいがちです。このような考えがある為、私が毎日のマーケットレポートの中で、幾らで買って(売って)、幾らで売り戻す(買い戻す)、そして、ロスカットは幾らに置くなどという類のコメントをしないわけです。

要するに、スパンモデル、スーパーボリンジャーを見ていることで、どこで買い(売り)、どこで利食い、もしくは損切りということが自ずと分かるのです。ですから、私の任務は、スパンモデル、スーパーボリンジャーの見方、使い方をお伝えすることであり、朝、夕のある決まった時間でのスパンモデル、スーパーボリンジャーによる私の相場分析、判断をご参考の為にご紹介することです。

もちろん、初心者の方などは、あらかじめ、自分の損失限度額を決めてマーケットに入ることにメリットがあることは事実です。特に、損失実現に対して異常なほどの恐怖感を持つ人は、事前にリスク許容度を設定しておくに越したことはありません。

しかし、ある程度マーケットの経験を積み重ねてくれば、「トレード技術」にてステップアップする為には、「トレーダー」として、一皮むける必要がありましょう。そうなると、やはり大切なポイントは、如何にして、目の前の相場と、とことん真剣に付き合うかということです。

今現在、目の前にて推移している相場が、どのようなトレンドにあるのか、上昇なのか、下降なのか、トレンド性は強いのか弱いのか、レンジ相場なのか、などなどを冷静、客観的にチェックした上でポジション操作を行う必要があります。相場が大きく変化した場合は、その大きな変化に乗る必要がありますし、小動きに終始する場合は無理にエントリーする必要はありません。

全てのポジション操作は、目の前で今現在動いている相場に対しての「根拠ある判断基準」に基づく、確固とした「トレードルール」に従ってなされるべきだということです。その際に、事前に自分が描いていたシナリオと異なった動きとなっても、柔軟に対応することが肝要です。その意味で、事前に設定した目標収益や損失限度額に拘り過ぎるのはあまり勧められないという点、ぜひともご理解下さい。

そもそも、「相場は相場の都合で動いているわけで、各人の収益目標や損失限度額に従って動いているわけではない」のです。ましてや、「今日は自分の予想が当たった」あるいは「今日は自分の予想は外れた」などというのはあまり、いや、ほとんど意味のないことです。

あくまで重要なのは、今日は自分のトレードルールに正しく従ったかどうかに焦点を置くべきだということです。そして、あくなき収益追求は決して非難されるべきものではありませんが、往々にして、欲望が強過ぎると逆の結果がもたらされる確率が高まるということを、私達が生身の人間であることを前提としてしっかりと認識しておくことが肝要だということです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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