「ポジションのしこり」について
相場の世界では、「世の中にポジションがしこっている」と言う表現があります。
例えば、多くの個人投資家の方々のポンド、ドル、ユーロ、豪ドルロングポジションが「しこっている」ことから、損切り(ロスカット)が大量に発動された、と言う具合に使われます。
相場が下落していくと、よく聞こえてくるのは、「まだまだロングポジションがあるから、まだ下落するでしょう」という類の意見や相場観です。特に為替ディーラーの中には、このように市場のポジションの偏りをやたら気にする連中がいるのは事実です。
確かに、市場のポジションに偏りが生じる場合は、主だったポジションの逆方向に相場が動くことは確率的高いのは経験則でもあり、またある意味、論理的な面もあります。
実際に、海外ではシカゴ先物市場、国内ではクリック365が公表しているポジション残高は、世の中のポジションの偏りを計る上で参考にはなります。
ただ、このような市場のポジションの偏り云々という話を始めることは、長い目で見て、成功トレードを行う上で障害となると言わざるを得ないと、私は思います。
私の基準では、他人のポジションをやたらと気にするトレーダーは中級以下と言わざるを得ません。上級のトレーダーはそのような話をあまりしないのです。
元々、私は、正直言って、「他人のポジションのしこり」云々という話は嫌いです。何故なら、自分の相場観が他人のポジション情報で振り回されるからです。
もっとも、私も、世の中で云々されているニュース記事などには目を通して、一般的なセンチメントを把握しようとはしています。やはり、誰もかれもが同じことを言い出すと、相場は終焉を迎えるというのは「経験則」としてあるからです。
そもそも人間は、良きにつけ悪しきにつけ、周りの環境の影響を受ける動物です。しかし、その度が過ぎると、結局は、自分の運命を切り拓いていくことが出来ません。常に周りの環境のせいにして生きている人間は主体性もなく、幸せになれる確率も少ないと思います。
相場についても同じです。
相場において、他人がどのようなポジションを持っていようが、相場は相場の行きたい方向に動くのです。幾ら市場がロングを大量に抱えているとしても、上昇する時は上昇するのです。逆(ショート)もしかりです。
ここ最近の相場で痛手を被った個人投資家の方がいらっしゃったとしても、いまさら世の中のポジション云々を気にすることはありません。
相場のことは相場に聞けば良いわけですから・・・。
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