「儲ける」という文字は「信じる者」と書きます。

自分の投資手法を信じることを指すと私は理解しています。自分を信じて行動することこそ、儲けにつなげることが出来るのです。

この自分を信じるというのは、言い換えると「自分の投資のルール」を信じるということです。この「自分の投資のルール」を信じて、徹底的にトレードをすること、これが投資で成功するための最短の近道です。

ところで、ルールに従ってトレードすると聞くと、どうしても、「システムトレード」を連想します。ここで、一つ「エピソード」をご紹介します。

私は、以前在籍していた米系銀行東京支店にてトレーディング部門のヘッド（統括マネージャー）をしていました。その時、私のボスでもあったインド人の本部長が私のところに来て、「素晴らしいシステムトレードの方法があるから、ぜひ試して欲しい。」と言われました。

本部長は、インドのボンベイ（今のムンバイ）出身で数学、統計の大家でもあり、彼の知る、ボンベイ（ムンバイ）支店のインドの金融の技術者が数学を駆使してトレードシステムを作り上げたというのです。確かに、インド人が数学に秀でていることは一般によく知られたことであり、ある程度は、説得力のある話ではありました。

ということで、正直、私は半信半疑でしたが、ボスからの命令でもあり、仕方なく、そのシステムトレードを期限付きを条件に取り入れることにしました。

その当時、私が在籍した米系銀行は、日本で初めて24時間デスクを設置した銀行でした。まさに、日本で初めてのナイトデスクを持っていたのです。最先端のトレーディングチームであったと今更ながら自負しています。実際のところ、ロンドン市場、ニューヨーク市場を網羅し、日本における全ての注文をその24時間デスクで処理していたのです。

そのデスクの担当者に、「しばらくの期間、この『システムトレード』をやってみてくれ」と頼みました。

結果は、ここではご紹介出来ないくらい悲惨なものでした。

当たり前と言えば当たり前なのですが、その「システムトレードモデル」は要するに、過去のある一定の期間にて最も収益が上がるモデルをシミュレーションしたものでした。様々なテクニカル分析を駆使して、最高レベルの数学を応用したものでした。

しかし、所詮は過去のマーケットでの最大の収益を出せるシステムに過ぎなかったのです。残念ながら、今現在の世の中に蔓延っている「システムトレード」はほとんどこの部類です。

私は、現在、相場分析やトレード手法に用いている、自分の「スパンモデル」や「スーパーボリンジャー」によるトレードをシステムトレードであるとは思っておりません。

理由は、そこには我々人間の判断が入るからです。

また、時間分析、価格分析（「アクティベート時間・価格分析」）を加えることで、チューン・アップしているからです。ですから、どうしても恣意的な判断は入ります。しかしながら、俗に言う恣意的な判断ではなく、私の中では「一つのルール」となっています。このルールに従うかどうかが、成功トレードを行うことが出来るかどうかの試金石となっています。

この「自分のトレード・ルール」を構築した上で、どこまでそれを信じて、守れるかが、成功トレードにつなげるポイントであると考えています。

あの、一目均衡表理論の創始者である一目山人翁が、仏教、それも、親鸞に傾倒したのもうなずける気がします。ただ、信じること、それが出来れば、結果は自ずからついてくるわけです。

「儲ける」は「信じる者」を指す、というのは本当に真実を突いていると思うのです。

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