トレードに向いているかどうかより、好きかどうかが大事
トレードに向いているタイプか、向いていないタイプかというご質問を頂戴することがあります。実際のところ、あまりトレードが上手くいかなくて聞いてこられるケースが多いです。私の考えは、トレードに向いているか、向いていないかの違いよりも、遥かに重要な違いは、トレード方法に関して正しく指導を受けたか、受けていないか、そして、やはり、何と言っても、トレードが好きかどうかであると思います。
ここで、少し私事のお話をしたいと思います。
私の場合、マーケットの世界に入ったきっかけは、決して自分が望んでいたわけでなく、「たまたまディーリング部門に配属された」ということでした。元々、得意のスペイン語やポルトガル語を駆使して中南米向けの国際シンジケートローンをやってみたいと思い、当時元気であった日本の銀行に入社したぐらいでしたから、トレードなどには全く関心がありませんでした。
2年間の国内支店での勤務を経て、ディーリング部門(国際資金証券部と言う名の部署でした)にてディーラー養成の研修が「たまたま」実施され、同期の中で唯一私が選ばれたのもこれまた「偶然」でした。そして、研修期間中に配属になった国際資金証券部長が、不思議と、かつてブラジルに勤務した経験を持っていたのも「偶然の巡りあわせ」でした。
東京本部での2か月の促成の研修を経て、何とニューヨーク支店に転勤になり、いきなり国際金融市場の本場にて為替トレーダーに抜擢されたのも、恐らくは、銀行が私に中南米業務に携わる前に、一時的に金利や為替の経験を積ませる目的であったように個人的には思えたぐらいでした。
ところが、いざ始めてみて、このマーケットのトレーダーという仕事に大きな興味を覚えた私は、逆に、出来る限り続けてみたいと思ったのです。すでに、この仕事が好きでたまらなくなっていたのです。
そして、しばらくすると、私は、恐らくは半年程度でディーリングルームでの「研修」を終えてニューヨーク支店内の他部署に係替えになるかもしれないと思うと、逆に心配になり始めたのです。そこで、私は、何としても収益を残すために、自分なりのディーリング方法を日夜必死で考えました。
その時に役立ったのはやはり「チャート」でした。経済指標の分析をしていても、マーケットの流れに乗らなければ、収益チャンスを失い、損失が増えるだけでした。
当時、ニューヨーク市場で日本人の為替ディーラーがまともに大手米銀を相手に立ち向かって生き残ったためしはないと言われました。私も同様にマーケットから弾き飛ばされるのは時間の問題であったわけです。それでも、不思議と、ディーリングを初めて2か月目の終わりくらいからコンスタントに収益を残せるようになっていました。
その当時、毎日、私はいつも良いお手本を見習おうと探し、努力していました。もっとも、先輩ディーラー諸氏は、お世辞にもディーリングは上手くありませんでしたが、チーフディーラーの方だけは、別格でした。私は彼の言動から何もかも「技術を盗んでやろう」という気持ちで一杯でした。
そうして、私のディーラーとしての「首」はつながったのでした。結局、その後、当時のニューヨーク支店での収益記録も作るに至った私は、一度も中南米に出張すら行けなかったのです。ニューヨーク副支店長でもあったボスは、私を中南米出張に行かせて、なまじ語学も出来るだけに、中南米の営業拠点に引っ張られてはいけないからという配慮だったと後で聞きました。ディーリングが好きで好きでたまらなくなっていた私にとっては、銀行に入社する前にあれほど憧れていた中南米行きはもはや眼中になかったのです。
話がかなり逸れてしまい恐縮ですが、要するに、私がお伝えしたかったのは、ディーリングに向いているか向いていないではなく、ディーリングが好きでさえあれば、あとは良いお手本を見て、それを真似、さらに自分のスタイルを確立していくのが成功ディールを行うための近道であるということです。
マーケットと言う土俵に立てば、市場参加者には、経験があろうがなかろうが、何らハンディは与えられません。それほど厳しい世界ですが、ある意味、こんなフェアな場所は他に存在していません。向いているか向いていないかに拘わらず、正しいトレード方法を身につけさえすれば、誰でも、参加出来、報酬を得る権利があることをお伝えしておきたいと思います。
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