人間というのは信じやすい動物
「アンカリング」という言葉あります。これは、不確実性のある事象について予測する時に、初めにある値(アンカー=いかり)を設定し、その後で調整を行って最終的な予測値を確定するということを指します。
そして、その最終予測は、最初に設定した予測値が大きく影響を与えるというバイアスが生じるという現象となるのです。
例えば、ある日の為替相場のレンジ予想をする場合に、前日の終値がアンカーの役割を果たしてしまい、その日のこれから起こる予想レンジの決定に大きく影響を与えるようなケースです。
確かに、このような現象は、私たちが日常によく経験することで、週初にその1週間の相場予想をする場合に、前週の終わりの動きを参考にするアナリスト、トレーダーはやたら多いです。
大手の銀行や証券と言われているところが発行するマーケットレポートも概ねこのような背景で書かれています。その結果、週初の相場予想が外れるケースが頻繁に生じているのは皆様もよくご存知であると思います。
ところで、話を戻すと、「アンカリング効果」から、「確証バイアス」という傾向が生じることも多いです。
この「確証バイアス」とは、いったん自分の相場予測を決めると、自分の相場観に都合の良い材料を集めて、それを裏付ける情報ばかりに目がいき、自分の相場観に逆らう情報を無視、軽視するようなケースです。これは、「確証バイアス」から自信過剰という傾向が生じることもあり、かなり「たちの悪い」現象とも言えます。
このようにみてくると、人間というのは、実に信じやすい動物、と言えるのではないでしょうか。
それほど、私たちが考えていることというのは、バイアスを持つ傾向があるという現実をしっかりと「事前に知っておく」必要がありそうです。毎日のトレードを行うに際しても、朝一番の相場観というものは、その時点ですでに過去になった相場(例えば前日の動きなど)が大きく影響を与えます。
さらに、こういう行動パターンをとる「市場関係者」という名の世間の輩が似たような相場観を持つことによって、市場のセンチメントはさらに増幅されます。現代の高度な情報化社会に生きていますと、私達個人投資家も、否応なしに周りから雑音が入るのです。自分の基盤となる相場哲学、分析基盤をしっかりと持った上でマーケットを分析する必要がどれだけ大切か、充分お分かり頂けると思います。
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