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凝り固まった相場観の怖さ

■凝り固まった相場観の怖さ

相場に入る時に危険なことは、事前に、先入観、つまりは、凝り固まった相場観を持ってしまうことだと思います。

凝り固まった相場観を持つと、どんな相場の動きを見ても、その相場観を前提に判断してしまうことになります。一例として、もし、凝り固まった「ベア」な相場観を持っていると、実際の相場が上昇トレンドにあるにもかかわらず、常に売りのチャンスに見えてしまいます。

そして、少し下げ始めると、自分の「ベア」な相場観にさらに自信を深めてしまいます。一方、仮に、自分が売ったレベルからさらに相場が上昇したとしても、ナンピンのチャンスとばかりにさらに売り増しする危険を冒してしまいます。つまりは、凝り固まった相場観がベアであれば、どんな相場を見ても「売り」にしか見えないわけです。尚、逆に「ブル」の相場観を持っている時も同様となります。

いずれにせよ、現実に目の前で動いている相場を真正面から観察することが出来ないという事態はとても危険だと思います。冷静に、そして、客観的に判断する精神状態でない以上は、どのチャートを見ても、その凝り固まった相場観をベースに判断を下してしまうわけです。

私は、昔、「ファンダメンタルズ」に拘って相場観を持っていた当時は、上記のような過ちをよく犯していました。相場材料が「ファンダメンタルズ」であるわけですから、そう簡単に相場の方向が変化するとは考えられなくなってしまうわけです。また、ある権威ある方の相場観を信じてしまうと、それはそれで同様の結果となってしまいます。

大事なことは、目の前の相場を自分の尺度で、客観的に判断出来るようになること、そうすれば、たとえ間違ったとしても、すぐに修正が自分で出来るようになります。すなわち、自助努力がとても大切だということです。この「自分自身の尺度」というものがあるかどうかが大きな違いとなりますが、これが確立されるまでは、時間が掛るかもしれません。

自分自身の尺度が確立してしまえば、自分で納得出来ることになり、その結果、方向転換も簡単に出来るようになります。そうすれば、相場観が凝り固まってしまうリスクは大きく減少すると思います。ただしかし、それが一旦確立されたならば、とにかく、それを信じることが大切です。迷いがいつまでもあれば、結局は、同じ結果に陥ってしまうリスクが高まるからです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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