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マーフィーの日々是好日

潜在意識の威力

私達人間は、普段の行動の多くを潜在意識に左右されているようです。とくに咄嗟の判断を必要とする場面では、感情的に行動するケースが多く、しかも、潜在意識が大きく影響を与えていることに気が付かないようです。そして、これら潜在意識は、私達が子供の頃から延々と積み重ねてきたものだということです。

さて、相場をやっていると、欲望、怒り、迷いという人間の三大煩悩と言ってもいい感情が随所で表面化します。相場の各局面で、様々な感情が、自分でも驚くくらいもたげてくるのです。

そして、幾ら合理的な行動を取ろうとしても、それを妨げる格好で、三大煩悩に基づいた感情が押し寄せてきます。しかも、これらの感情は、私達が延々と築き上げてきた潜在意識を背景としているだけに、根が深いものがあるようです。従って、例えば、自分が苦労して築きあげた「トレードルール」に従って行動することを困難にさせるようです。

こうなってくると、かなり厄介な問題が起こります。すなわち、ポジションを持たず、冷静に相場を観察している間は問題ないのですが、いざ、ポジションを持って、評価益や評価損が生じてくると、途端に先ほどの欲望、怒り、迷いという感情が出現します。

そして、評価益を持っている状態では、収益を確定したいという欲望がポジションキープを阻もうとします。一方、評価損を抱える状態では、損失を目の当たりにして怒りの感情が高まってきます。また、相場が往ったり来たりしていると、迷いの感情が高じてくることで、どんどんストレスが溜まってきます。

これらの感情の背景として潜在意識が深くどっしりと存在していることも厄介です。つまりは、自分としては意識を顕在的に感じることが出来ないのです。つまりは、無意識に、欲望が生じたり、怒りが生じたり、迷いが生じたりするのです。

こういった感情を客観的に観察することが出来れば理想ですが、現実問題、なかなか困難です。何故なら、相場の真っ只中にあると、それどころではなくなるからです。

しかしながら、ただ、煩悩に流されるままにトレードを続けてしまうと、結果は悲惨なことになります。市場から撤退を余儀なくされるのも時間の問題となってしまいます。すなわち、感情のおもむくままにトレードすると損する仕組みになっているということなのでしょう。

と言うわけで、やはり、感情的になり過ぎず、自分を冷静に見つめることが出来るよう、自己鍛錬することが必須となります。その意味での自制心はとても大切なものと言えましょう。言葉で言うのは簡単ですが、経験を少しずつ積み重ねながら、無理をせず、着実に少しずつ成長していくのが結局は良さそうです。まさに、「急がば回れ」ということだと思います。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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