私の夢
現代経済学の基本的考えの1つに「効率的市場仮説」というものがあります。いきなり、ちょっと堅苦しい言葉をご紹介しましたが、内容はごくシンプルなものです。つまり、「市場は効率的だ」と言う意味は、市場は常にありとあらゆる情報を瞬時に織り込み、本来、予測不可能とするものです。市場価格は、売り手と買い手が互いに完璧な情報を元に売買を行う為に、常に均衡しているという考え方です。
そして、「効率的な市場」における参加者は相場変動要因全てに対して瞬時に反応する為に、いつも「適正価格」に落ち着くと仮定します。従って、そこには、「フリーランチ」なる誰しも簡単に収益を上げるチャンスなど存在しないと主張されるわけです。
また、「適正価格」は1つである為に、グレーな部分は認められません。また、相場が向かう方向は、上方、下方、いずれの方向に対しても、同率の確率があることを前提とします。すなわち、「ランダムウォーク仮説」と言われているものです。例えると、酔っ払いのおじさんが右方向に歩くか、左方向に歩くか、確率は五分五分だという考え方に依っています。
この「効率的市場仮説」なり、「ランダムウォーク仮説」は、現代の錬金術の1つである通貨オプション理論の基礎でもあると言う点は重大です。まさに、ノーベル賞学者がこれらの理論を確立させてきたわけです。
ところが、現実の市場はどうかと言うと、決して、「効率的」ではありません。また、「ランダムウォーク」でもありません。そもそも、世の中には、完全なるものは存在しないと言ってしまうのは簡単ですが、もっと複雑怪奇であるとも言えましょう。
しかしながら、頭の堅い経済学者などは、このような市場の動きに対して、自分達の理屈が通らないと判断すると、「投機的」と表現しようとします。極論すると、相場でお金を稼ぐのは、運が良いか悪いかに過ぎないということになるわけです。
「相場」という世界や「トレーダー」という職業に対して、一種、偏見のようなもので見ようとするのは、何でも「理屈」で説明したがる人々の傾向と言えましょう。逆に言うと、「相場学」として学問の分野の1つとして認められない背景かもしれません。
実は、私は、この「相場学」を確立することが夢でもあり、ロマンでもあります。不確実であり、複雑なものに対して、何かしらの規則性、法則性を発見することが目標です。なかなか辿りつかないかもしれませんが、その過程を楽しみたいとも思っています。
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