「任運自在」の境地
「108」と言えば、煩悩の数と言われます。考えてみれば、マーケットにいると、様々な思い、感情、心理状態になります。まさに、「108」もの人間の持つ煩悩を次から次へと体験する感じです。
そして、マーケットでの経験を積めば積むほど、人間としても成長することになります。私自身、マーケットをこよなく愛している理由の一つが、自分の成長を実感出来るということなのです。もっとも、正直なところ、私自身は、まだまだ成長が足りていませんが・・。
マーケット関連の、私が好きな言葉に「任運自在」があります。ご存知の方も多いと思いますが、あの一目均衡表理論の創始者である一目山人翁(本名、細田悟一)が原著にて引用されている仏教用語です。
意味は、運に任せるのではなく、運びに任せて心は自由自在にあれ、売り買いの別なく建て玉にとらわれて相場を判断することなかれ、常に建て玉なきが如く無心の判断を心掛けよ、ということです。私は、「建て玉なきが如く無心の判断」という部分が好きです。まさにトレードの本質を突いているからです。
ところで、一般的に言って、自由にものを見ることは案外に難しいものです。例えば、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という格言があります。びくびくした心で見ると、枯れ尾花が幽霊に見えてしまうということです。
「任運自在」に通じることですが、元来、「自由というのは、「自分に由る」ことです。しかし、私達はなかなか自分に由れません。環境に支配されるのです。周囲の環境で自分の心がびくびくしたり、明るくなったりするのが実情です。
いわば私達は周囲や環境の奴隷になっていると言えるのかもしれません。マーケットで生きて成功を収めるには、この「任運自在」を如何に実践出来るかが決め手になります。
今現在、目の前のマーケットをあるがままに見て、拘りをなくして受け入れ、そのままを肯定することが、極めて大切なのだと思います。ただ、やっぱり「言うは易し、行うは難し」です。ああ、相場とは難儀なものです・・・。
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