人間の不合理な行動こそがマーケットの動きの背景
先日、「相場は均衡が崩れた方向に動きやすい」とご説明しましたが、マーケットの動きとは、そもそも、「人間の不合理な行動」が原因、推進力となって引き起こされていくと考えられます。
「人間の不合理な行動」と言っても、私達が、心の底から湧きあげてくる喜怒哀楽に沿って行動することでもあり、人間らしくもあるわけです。ただ、相場の世界では、この「人間らしさ」が往々にして一見不可解とも言える動きを引き起こしているわけです。
ですから、素直に自らの人間味溢れる行動パターンを認識することも、マーケットの動きを理解する上で大切となってくるわけです。
例えば、トレードに関連する者に限るとして、代表的な人間の感情には、以下のようなものが挙げられます。
1)希望=持ったポジションに利益が出ることを望むこと
2)恐怖=損失をこれ以上出せないと恐れること
3)貪欲=もっと稼ごうとポジションを拡大すること
4)迷い=どうポジションを操作したら良いか分からないこと
5)絶望=自分のトレードルールが間違っていると悲観すること
これらの感情が、相場の展開と共に、互いに絡み合いながら、織りなしていき、相場の変化を引き起こしていくわけです。
よく、短期で見たマーケットの動きは「市場参加者のポジションの切り崩し合い」とも言われますが、確かに、強いプレーヤー(Strong hand)と弱いプレーヤー(Weak hand)が混合している中で、それぞれの市場参加者の力量に応じて、ポジション造成、ポジション調整、ポジション手仕舞いが行われていく過程が目の前の相場の動きと言えます。
と言うわけで、マーケットがいわば「心理戦」と言われるのも理解出来ます。その為、マーケットを動かしているこれらの生身の人間の行動の背景(先ほど挙げた人間の感情の種類)を意識しておくだけでも、マーケットが違って見えてくると思います。
そして、マーケットの動きを視覚的に教えてくれるものが「チャート」ということです。つまりは、「チャート」抜きでは、実際のマーケットの動きを把握することは不可能に近いと考えられます。私が「ファンダメンタルズ(不安だメンタルズ)」に基づく分析ではなく、チャートによる分析を重視している理由でもあります。
尚、「ファンダメンタルズ分析」にしても、「テクニカル分析」にしても、恣意的な面は常につきまといます。自分(のポジション)に都合の良い解釈をしてしまうのが人間の常のようです。
いくら、自分では、冷静、且つ、客観的に判断していると思い込んだとしても、所詮は、主観や恣意性が加味されることから逃れることは出来ません。しかし、それでも、「テクニカル分析」の場合は、「ファンダメンタルズ分析」に比べて遥かに「具体性な物差し」が存在します。その分、強い意志さえあれば、「具体的な判断基準」を歪曲させてしまう度合は小さいと思います。このように「テクニカル分析」の正しい理解と利用を通じて、上で見た「人間の不合理な行動」を少しでも正すことで、より合理的なトレード判断を行えるようになると思うのです。
★お知らせ
フェイスブック内、「フェイスブックページ」
http://www.facebook.com/spanmodel
ツイッター
http://twitter.com/murphyfx