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マーフィーの日々是好日

相場は分からない時があって当然

あの一目均衡表の創始者である一目山人翁は、「相場というものは分からないものだという人は恐らく相場の真髄の分かった人でありましょう。」「もし、それを 裏返せば、いつも相場は分かるという人は、あるいは、その時々の相場はわかるとしましても、相場そのものを分かっていない人ではないでしょうか。」(一目 均衡表、完結編、P39)と仰っています。

相場を究め尽くした一目山人翁が仰る言葉だけに、意味は大変深いものと言えます。確かに、相場がいつも分かると言っている人がいるとすれば、それは相当に怪しい、疑われて当然と思っておいた方が無難かもしれません。

翁は、さらにこんな風に仰っています。「素人は儲けたことばかりを語り、玄人は損ばかりを語る。ことに玄人は儲けそこなったものまでも損したとして語る。そこが素人と玄人の根本的な違いである。」と。

ここで玄人や素人という区別は、プロの雇われトレーダーか個人投資家の違いという意味ではなく、投資経験がどの程度あって、収益をどの程度上げているかに依るものだと考えて良いと思います。事実、プロの雇われトレーダーにも多くの「素人」が存在し、個人投資家にも多くの「玄人」が存在しているからです。

「相場が分からない」ということは、すなわち、本当に相場が分かっているから言えることではないかと思います。分からないという点が何であるのかが分かることに意味があり、だからこそ、相場が分かるということです。実際の相場では、分からない時には、手を出すべきではないとも言えます。分からなかった相場に一筋の光が見えた時、相場に立ち向かっていけば良いということです。

より具体的に言うと、相場が往ったり来たり、保ち合い相場、膠着相場にある時は、分からないのが当然のことです。しかし、ある時、相場が放れるタイミングが あり、そのタイミング以降に、相場にトレンド性が生まれるとすれば、初めて、その相場の流れに乗っていけば良いということです。これが、つまり、相場は分からない時があって当然であり、逆に、その方が良いのだということの意味だと思います。

それにしても、相場は、私達が人生を生きていく上で大切な教訓を数多く教えてくれるものだとつくづく思います。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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