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相場材料は作られる?!

相場と言えば、外国為替相場、株式相場、債券相場、商品相場といった、いわゆるマーケット情報が日本、海外問わず、新聞、テレビ、雑誌等を通じて私達の生活に入り込んでいます。自由主義の経済・社会生活を営んでいる限り、また、投資そのものに関わる限り、私達自身、相場とは切っては切れない関係にあると言えます。

さて、その相場ですが、そもそも、相場とは、ある取引の場で自由に値段付けが行われる売買取引を指すものですが、この相場は不確実なもの、予測不能(ランダム)なものではありません。つまり、相場には相場の世界独自の「法則性」が存在していると私は考えています。いわば「不確実」な中にも「確実性」が存在しているとも言えるので す。

本質的に見て、相場、すなわちマーケットは人間の行動を反映するものです。個別の人間の行動はバラバラであっても集団としての人間の行動には特徴があります。そして、人間は、煩悩、すなわち、「欲」「怒り」「迷い」などによって動かされます。また、人間は、遠い過去から繰り返し同じ類の行動パターンを繰り返して きたことが分かります。

そして、相場は、一見すると、毎回でたらめに動いているように見えます。買い材料、売り材料が突然降って湧いたように現れます。そのため、市場は、互いに無数に存在する「買い材料」と「売り材料」がまるで戦っているかのようです。確かに、それぞれの瞬間では、相場はこれらの「材料」に影響を受け、変動します。従って、誰もが「相場材料」「相場要因」の収集や分析に躍起になる傾向があります。

しかしながら、相場の本質は「相場材料」「相場要因」にあるのではなく、相場の動きそのものにあると考えられます。これは、「相場力学」と言っても良いかもしれません。つまりは、「相場力学」に基づく相場の流れがまず先に存在し、その流れを急な物にしたり緩やかなものにしたりするのが「相場要因」「相場材料」と考えられます。極論すると、相場は材料や要因によって動かされるのではなく、相場が材料や要因を創っていくと考えられます。

例えば、相場が上昇の流れの中にある時は、大した買い材料ではないにもかかわらず、大きな買い材料になったり、相場が下落の流れの中にある時は、大した売り材料ではないにもかかわらず、大きな売り材料になったりするのはその一例です。

極端なことを言うと、突発的な相場材料も、あくまで、相場の流れが先にありきであり、その流れの中での「一コマ」に過ぎないということです。何かしら大いなる力が働いて、相場を動かしており、「表面的に」その相場を動かしている「相場材料」も、その大いなる力の下で生起している、もしくは無理に作られているとも考えられるわけです。

と言うわけで、相場の動きは、決して「でたらめ」ではなく、ある規則性に縛られて推移していっていると判断しても過言ではないと思います。その為、「相場を極める」とは、この相場の根底に流れている「法則性」を見出すことではないかと思うのです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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