「円高時代の外貨投資」
先日、知人より、「最近、円高だけど、外貨投資についてどう思う?」という類の質問を受けました。
確かに、この最近は、円高傾向が強まっています。特に、ドル円相場において、歴史的円高が訪れていることは確かです。しかしながら、貿易相手国との貿易額で加重平均して算出する名目実効為替レートや、相手国の物価水準も加味して計算される実質実効為替レートで見ると、1ドル=79.75円を付けた1995年当時と比して、むしろ大幅な円安水準にあることが分かります。
もちろん、為替レートというものは、名目のレートで判断されることが大半ですから、ほとんど誰しもが歴史的な円高だと捉えるのも仕方ないことかもしれません。また、チャートは、名目レートで出来ているものであり、チャートの世界には相場そのものの「法則性」で推移していることから、それ自体で意味があるものです。
さて、この「歴史的円高」を前にして、個人投資家が「外貨投資」の観点から「FX」を行う際の戦略を少しばかり考えてみたいと思います。既に、お気づきの人も多いと思いますが、「外貨投資」と書いた時点で、既に、「FX」からは離れてしまっていると考えざるを得ません。
つまり、未だに、「FX」を外貨預金の延長線で捉えている個人投資家が多いということです。もっとも、個人投資家に責任があると言うより、そのようなニュアンスを打ち出してきたFX会社や証券会社、マスコミ等に問題があるかもしれません。
確かにレバレッジ1倍でFXを行い、外貨買い円売りでエントリーすれば、それは限りなく「外貨預金」に近いものとなります。一般の銀行よりも遥かに安いか無料の手数料で、簡単に「外貨投資」を出来るわけですから、タイミングやレベルを間違えなければ、効率の良い「外貨預金」が出来るかもしれません。
ただ、やはり、「預金」と呼べるほど金利メリットが大きいとは言えないのが昨今の外貨の金利情勢です。世界景気失速、とりわけ、米国経済の先行きに暗雲がたれ込めている中で、世界的な低金利は続く気配濃厚であり、かつての高金利通貨買いという色彩の強かった、金利面からの「外貨買い円売り」のメリットはほとんど見られません。
とどのつまり、「FX」を投資の対象と考えるならば、その最大の醍醐味は、売買、つまり「トレード」です。1日24時間オープンしている市場で、世界でも最も市場参加者が多い外国為替市場を対象に取引出来るわけです。平日昼間にお仕事をされている方も、夜帰宅してからの僅かな時間を利用して売買することも可能です。
「売買(トレード)」ですから、買ったり売ったり、売ったり買ったりです。必ずしも買い方向から入らなければならない必要はないです。未だに「FX」とは外貨買い方向で入るのが本来の姿、と理解されている個人投資家が多いことには驚かされます。売買益こそが「FX」で本来狙う対象です。
ところで、ドル円相場を例にとると、本日現在、今年に入ってからの高値は85.53円、安値は75.95円です。つまり、その差はたったの9.58円です。10円にも満たないのです。過去8カ月弱の相場を100パーセント予想することが出来ても、ポジションをべったりと持ち続けているだけでは大した収益につながらないのは明らかです。むしろ、損失につながるリスクが大きいとも言えましょう。
大事なことは、自分が置かれた環境(トレード可能時間、資金量、リスク許容度、自分の性格等々)を把握すること、その上で、自分に適ったトレードスタイルを模索し、構築することです。とにかく、自分に適ったスタイルを充分に納得して打ち立てるまでは、決して焦らず、無理をしないで、少額で試しながら少しずつ行うことです。
昨今は「お手軽主義」が蔓延っています。簡単に短期間で大儲けしたい欲望ばかりが先んじてしまって、自分で「学習」する習慣のない人が増えているようです。確かに、名目上は歴史的円高にあることは事実であるだけに、タイミングとレベルさえ上手く判断出来れば、収益チャンスが訪れやすいとも言えます。その為にも、しっかりと地に足を付けて、「FX」を正しく学び、正しく行うことが大切だと思います。
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