あのチャーリー中山氏が教えてくれたもの
相場をやっていると、時折、「直感」が湧くことがあります。つまりは、何となく上がりそうだとか、何となく下がりそうだとか、といったような感覚です。
相場センスが良い人は、この「直感」が湧きやすいとも思えるのですが、その場合は、「動物的感覚」と言った表現がしっくりきます。と言っても、動物は相場をやるわけではないので、「嗅覚」と言った表現の方が良いのかもしれません。
この「動物的勘」や「嗅覚」と聞くと、私はすぐにあの伝説のディーラーとも言うべき、チャーリー中山氏(本名、中山茂)を思い出します。中山氏は米バンカーズトラストやファーストインターステート銀行にて多大な業績を上げた方ですが、市場でも知らない人はいないくらい著名なディーラーでした。今もなお、自分 のファンドにてトレードを続けておられます。
小説「東京外為市場25時 伝説のディーラー」「8割の男」の主人公のモデルになった人としても有名な方です。その中山氏が、当時邦銀ニューヨーク支店に駐在していた私に頻繁に電話を下さり、毎回トレードをして下さったのです。
その時のことを思い出すと、ああ、これが「動物的勘」「嗅覚」というやつか、と思うほど、まさに研ぎ澄まされたタイミングでトレードをされていたのを思い出 します。中山氏は、確かに、ディーラーセンスそのものを持っていた気がします。ですから、生き証人として、私は、中山氏は「8割の男」どころか「9割5分以上の男」と形容しても良いくらいです。
ところが、中山氏はそれほど特別なマーケットセンスのある方と思いきや、ある日、氏と話しているうちに、いつ寝ているのか分からないほど過酷とも言える状況 下でマーケットを追い続けている姿勢を感じ取ることが出来たのです。まさに、獲物を追う時のチーターのような感覚と言って良いでしょうか。中山氏は、よく、自分独自の「帳面」をつけていると仰っていたことを思い出します。私の耳には、中山氏が頻繁に口にされていた「ちょうめん、ちょうめん」と言う言葉が残っています。
そんなことから、「動物的勘」や「嗅覚」というのは、毎日の相場の中で、延々とマーケットを追い続け、何年もの間、ありとあらゆる状況を経験し、記録し続けていく中で生まれた「賜物」であったと思えたのです。確かに、つまりは、常人では考えらないほどの涙ぐましい努力が背景にあったということです。
結局のところ、甚大なトレード収益というのは、マーケットセンスもさることながら、毎日の努力の積み重ねの結果、備わってきた「勘」「嗅覚」、つまりは「直感」に基づいていたのだと考えられます。ありとあらゆる状況を記録し、今後のトレードに活かすという真摯な姿勢にこそ、その原点があったと思わざるを得な いのです。
もっと言えば、そこに「ロマン」があったと思っています。私も、相場の本質の追及にこの「ロマン」を感じている次第です。
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