「予想(よそう)」は「うそよ」
相場の世界では、「予想」が頻繁に行われます。しかしながら、この「予想」は、ひと言で言って危険な行為だと、私は思っています。私の投資哲学の中にも、「予想はするな」というものがあります。予想をすることで、自分がその相場観に縛られてしまうことが危険だからです。
そもそも、相場予想は誰でも出来るものです。相場は上がるか下がるか、基本的には2つしかないので、単純に考えて確率は50パーセントです。でたらめに答えても50パーセント「当る」わけです。しかしながら、現実のマーケットがそう単純ではないことは、皆様充分にご承知のことだと思います。
大体、「予想(よそう)」を逆から読むと「うそよ」になりますが、確かに、この語呂は、決して大袈裟なものではなく、間違ってもいない気すらします。
それでも、世の中では、「予想」を求めている人が多いのも事実です。誰もが「相場予想」を聞きたがりますし、読みたがります。恐らくは、皆、何かしらの 「頼るべきもの」「頼れるもの」を求めているのだと思います。何故ならば、市場の真っ只中にいると、人は皆、孤独で不安だからです。「寄らば大樹の〜」式でマーケットに入っていくのを好む傾向にあるのも無理ないかもしれません。
確かに、株式市場などにおいては、有名アナリストの相場予想は多くの人が欲しがるようです。特に、個別銘柄に関するアナリストがいて、「証券アナリスト」として、れっきとした地位を築いています。また、金利の世界においても、「マーケットエコノミスト」と呼ばれる人達が存在しており、日夜、マクロ経済分析などを行いながら緻密なレポートを発表し続けています。
一方、為替相場の世界はと言うと、確かに相場を予想する人はいますが、長きに亘ってコンスタントに「相場を当てる」人はあまり存在していません。それほど、為替相場というのは、理屈だけでは動かないものとも言えます。しかしながら、終わった相場を、理屈を並び立てて解説するのは簡単な作業です。何故なら、いついかなる時も、相場には、買い材料と売り材料が同じ程度存在しているからです。つまり、動いた方向に適った材料だけをピックアップしてくれば良いわけです。
ところで、「相場予想」に関して、世の中では、「〜だから〜なる」と言う風に、理路整然とした判断根拠を示さなくては受け入れてもらえない風潮があります。従って、やはり、「ファンダメンタルズ分析」が中心となります。つまりは、ファンダメンタルズをきっちりと語れる人でないと相場を「予想」することは難しいとも言えるわけです。作文の上手な人がアナリストになる資質を備えていると言っても過言ではありません。
実は、相場においては、そこに無理があります。特に、為替相場は、ファンダメンタルズで語り、説明が付くほど単純なものではありません。もちろん、終わった相場に対しては、いとも 簡単にファンダメンタルズで「後講釈」出来ます。ちなみに、私はファンダメンタルズのことを、「不安だメンタルズ」と呼んでいます。
しかしながら、今現在の相場に対して、何らかの説明がされたとしても、そのほとんどが後手に回ってしまうものであり、実際のトレードにはほとんど役に立ちません。ですから、マーケットの現場にいるトレーダー(広い意味で)にとって、「相場予想」を信じてトレードすると大やけどをすることが頻繁に起こります。
尚、テクニカル分析を中心に相場予想をする人は一部に存在していますが、日本では評価される度合いが低い風潮にある為、テクニカルアナリストもあまり表だって現れません。最近では、テクニカル分析をベースとした「システムトレード」が流行っているようですが、これまた多くの疑問、問題点があるようです。
何はともあれ、世の中に見たり聞いたりする「相場予想」は、こと、為替相場に関しては、信用出来ないものと思わざるを得ないものが大半だというのが現実だということです。ですから、皆様は、相場予想に頼るのではなく、今現在の相場が買い優勢なのか、それとも売り優勢なのかを具体的に判断する「技術」を身に付けることが重要です。
この技術は「相場判断技術」であり、「トレード技術」でもあります。つまり、買い優勢か売り優勢かを判断した上で、どこで買い、どこで売るかを判断する技術のことです。正しい「トレード技術」さえ身に付ければ、下手な相場予想など必要ないどころか有害だということです。
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