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トレードはギャンブルよりリスクが高い?!

パチンコ、競馬等のギャンブルは、FXなどのトレードと違って、自動ロスカットなる仕組みはありません。あくまで1回毎に、賭け金を差し出すことで「ゲーム」に参加することが出来るわけです。

従って、1回毎の最大の負け金額は、差し出す賭け金の額が限度となります。つまりは、リスク限定の「ゲーム」なのです。まさに、手数料を払って参加するオプション取引であるわけです。すなわち、手数料以上の損はしないわけです。手数料を払った時点で、ロスの最大額は決まっているわけです。

一方、FXなどのトレードの場合、証拠金をベースにポジションを持ちますが、預けてある証拠金の額が必要証拠金の額を下回らない限り、自動ロスカットはされません。つまり、仮に自分が1回に取引する為に必要な取引証拠金を充分に上回る金額の保証金を預けておく場合、自分自らがロスカットをしない限りは、預けてある保証金全額が必要保証金の額を下回るまでは、自動ロスカットされないわけです。

ここでの問題は、個人投資家の中では、この自動ロスカットをされるのを嫌って、必要証拠金が足らなくなると、追加入金をされるケースが多いことです。誰しも 「自分の可愛いポジション」をロスカットするのを躊躇うものであり、また、強制的にロスカットされるのを嫌うのが背景です。

一般的な傾向として、個人投資家は、マーケットを見ながら自らロスカットをするのを嫌うようです。ロスカットされたくない為に、必要証拠金を増額すべく追加入金をする人がいるようです。根底に、「ロスカットは悪」だという考え方があるのが問題だということです。

つまりリスクの観点から言うと、当初、ポジションを持った時点では、自分としてのリスク許容額を恐らくは決めていたはずなのですが、いざ、ポジションを持ってしまうと、相場が展開していくにつれて、当初のリスク許容度のことを忘れてしまっているケースが多いのが実情のようです。

このように、トレードというのは、一般的なギャンブルよりもリスクを伴ったものと言うことが出来ます。もちろん、ギャンブル依存症となって際限なく自己資金を費やす人はいますが、やはり、1回についての損失限度額は賭け金までと決まっているという点で、リスクは限定的であり、極めて「健全」だと言えるわけです。

尚、 敢えてギャンブルの例を挙げたのは、皆様にトレードのリスクについて鮮明に理解して頂くためです。自分はそのようなことはないと思っていても、実際のとこ ろ、意識するしないにかかわらず、肝心なことを忘れてしまっていることがあるということです。

相場と向かい合っていたはずなのに、実は、相場とは向かい合わず、自分の「腐ったポジション」ばかり気になっているという現実に目を向けて頂きたいということです。相場をウォッチしなければならないのに、自分のポジションばかりウォッチしてしまっている、自分のポジションがロスカットされないかどうかにばかり関心が向かってしまっていることこそ問題なのです。

尚、この場合、トレードを考える上での重要ポイントとして、「腐っている」かどうかは、あくまで、自分のポジションとマーケットレートを比較した段階での話です。つまり、評価損が出ているから「腐っている」と判断しているわけです。

ところが、本来考えなければならないのは、コスト云々というのではなく、ポジションの方向自体が間違っているかどうかを判断することが大事です。従って、たとえ、評価損が出ていても、方向が間違っていないと判断するならば、追加でポジションを増やせば良いわけです。このようなポジション造成は、俗に言う「ナンピン」ではないという点、ご理解下さい。

私が、「ナンピン」を絶対的に否定しない理由は上記のことが背景です。自分のポジションが相場の方向性と合致していると判断されるのであれば、別に、ロスカットすることなく、キープしていれば良いわけであり、「ナンピン」は積極的なポジションメイクとして、否定されませんし、極端な話、証拠金維持の為の追加入金も許されるということになる、ということです。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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