「思惑先行型の投機的動き、大変不見識なもの」?!
先週の話ではありますが、この直近の円高局面で、与謝野経済財政政策担当大臣が報道陣のインタビューに答えて「思惑先行型の投機的動き、大変不見識なもの」と発言したのには、私一個人として大変失望しました。与謝野大臣こそが「不見識」はないかと思えたぐらいです。つまり、マーケットがどのようなものであるのか、残念ながら、彼自身理解が出来てないということです。
そもそも、外国為替相場は、変動相場制であり、固定相場制ではありません。従って、マーケットでは、買い手と売り手が存在して自由に売買出来るわけです。固定相場制を敷いている国はほとんどなく、変動相場制が世の中の常識です。資本主義社会そのものが「変動相場制」を基盤に成り立っているわけです。人が自由に売買出来る環境はごく自然なことです。
それがたまたま通貨ペアであるということだけです。一般物資、サービスが自由に売買されているのと全く変わりありません。そこには如何なる「思惑」が絡んでいても仕方ない、当然のことです。それが自由社会の原理原則だからです。
もちろん、通貨ペアの売買に伴う外国為替相場の変動は、経済活動に影響を与えます。しかしながら、一般個人投資家が経済活動に影響を与えるほどの規模で売買をするに至るわけはありません。そもそも、買った人は売り戻すわけであり、売った人は買い戻すわけです。ネットでニュートラルなわけです。そして、一般的な傾向として、個人投資家の行動パターンは、逆張り志向、つまり、下がってくれば買い、上がってくれば売るスタイルが多く見られ、相場変動を抑える方向に向かいやすいと言われています。
もっとも、率直に言って、このような議論をすること自体、生産的でなく、意味はないと思っています。つまりは、売買の主体となっている個人の行動に対して云々と言うこと自体、まるで的外れだということです。相場の動きを、ヘッジファンドにしろ、機関投資家にしろ、輸出入業者にしろ、個人投資家にしろ、売買主体をベースに語ること自体、的外れだと考えます。世界最大規模の外国為替市場が売買主体どう動いたからと言って変動すると考えるのは、かなり「うがった見方・判断」です。市場はそのように薄っぺらいものではないということです。
もっとも、与謝野大臣は個人投資家のことに触れたわけではないです。マーケット全般の動きについて語ったわけですが、いずれにしても、論点自体が外れているという点が残念で仕方ありません。尚、為替相場というものは、ある水準に達すれば「達成感」も生じるものです。つまりは、自立反転も起こりやすくなります。行き着くところまで行けば、逆向きの動きが生じやすくなるということです。「振り子の原理」と言っても良いかもしれません。相場変動率は上がるかもしれませんが、その分、リスク許容度を上げる為に、ポジションのサイズを減らしておくことをお勧めします。リスクとリターンのバランスが大事だからです。
いずれにしても、為替相場は、1日24時間動いていますので、基本的には、目の前で動いている流れに乗ることが大切です。あれこれ「予想」「予測」せず、短期の時間足をベースとして、信頼出来る「トレード技術」を駆使して、ここぞと言う時にだけエントリーして、さっと手仕舞するぐらいの気持ちで「入っては出る」感覚で売買を繰り返すのがもっとも効果的です。
もちろん、そう頻繁に売買出来ないのであれば、無理をせず、リスク許容度を上げて、日足をベースにゆったりと売買するスタイルもOKです。今回のマーケットの動きは、短期であれ、中期であれ、自分の性格、環境、条件にあったトレードスタイルを築く為に、マーケットを見直す良い機会になったと思えば良いのではないかと考えます。
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