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マーフィーの日々是好日

人間は益を早く実現し、損を先送りするもの

よく引き合いに出される例として、

1)A=必ず80万円もらえる
  B=100万円もらえるが15%の確率で1円ももらえない

2)A=必ず80万円支払う
  B=100万円支払うが15%の確率で全く払わずに済む

(1)でAを選択し、(2)でBを選択する人は、利益確保を急ぎ、損失を引きずる傾向があるということが分かります。実際のところ、計算上は、確率論とは言え、どちらもAが得だということです。

このことからも分かるように、元来、普通の人間は、同じ額の損失と収益であれば、損失の方が2倍以上重く感じるようです。個別株を具体例に出すと分かりやすいですが、例えば、100万円の株が80万円に下落した悲しみは、120万円になった喜びより圧倒的に大きいため、損失と向かい合うことを先延ばししてしまう傾向があるということです。

このように、損切りは難しいということです。従って、特にトレードに慣れていない初心者の方にとって、「機械的」に損切りルールを設けることは大きな意味があるということです。

「機械的」と言ったのは、私達は往々にして「今回だけは例外のケースかもしれない」「今までの相場とは違うかもしれない」と思いたくなる傾向があるからです。要するに、潔く失敗を認めることが出来ないということです。

それでは、「機械的」に行う「システムトレード」なるものが上手くいくのかと言うと必ずしもそうではないということです。それは、システムトレードを経験したことのある方ならすぐにお分かりのことだと思います。

私は、相場は「生き物」だと思っています。この「生き物」は時に幸福となる収益をもたらしてくれることもあれば、不幸となる損失をもたらすものでもあります。

そして、収益をもたらしてくれる確率を上げる為には、相場と上手く付き合わねばなりません。上手く付き合う為には、テクニックが必要です。それが、いつも申し上げている「トレード技術」です。私の場合は、「スパンモデル」であり、「スーパーボリンジャー」であり、さらには「時間分析」です。

「トレード技術」には、多くの「トレードルール」があります。そして、実際のトレードにて、かなり機械的に判断する場面が多いのは事実です。しかし、それでも、ある程度の恣意的な判断を入れてこそ、究極の「トレードルール」であると考えます。

相場というのは、人間の煩悩がうごめいて推移していくものです。従って、やはり、人間心理を考慮に入れなくては、本当の意味で相場と付き合うことは出来ません。となると、やはり、私達人間による恣意的な判断が入ってこそ究極の「トレードルール」が出来るということだと思います。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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