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マーフィーの日々是好日

昨年の相場を振り返って

皆様、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。


■さて、昨年1年の相場を振り返って思うことですが、一言で表現すると、本来の為替相場の姿に戻ったということです。「本来の」と言うとちょっと「語弊」がありますが、要するに、あまりトレンド性のない場面が頻繁に見られたということです。

今まで何度も申し上げてきたことですが、外国為替相場とは、基本的には、「往ったり来たりする」ものだということです。「往ったり来たり」ということは、上げ下げの波動があるということです。至極当たり前のことを言っていますが、実は、実際のトレードにて、このことを充分に理解して臨んでおられない個人投資家の方が意外と多いということです。

よく、相場では、「タイミングが全て」と言われます。かいつまんで言うと、相場観が正しくても、タイミングを間違えば損につながり、相場観が間違っていても、タイミングを間違わなければ収益につながるのです。

「一体何を言ってるんだ!」という声が聞こえてきそうです。「相場観が正しくなければ儲かるわけがないじゃないか!」とか、「相場予想を間違えると損をするに決まっているじゃないか!」と言った意見が聞こえてきそうです。

そこで、こんな風に説明すると分かりやすいかもしれません。上昇相場と予想しても、買うタイミングを間違えると損をする、下降相場と予想しても売るタイミングを間違えると損をするということです。

一方で、上昇相場でも売るタイミングを上手く捉えると収益を得ることが出来、下降相場でも買うタイミングを上手く捉えると収益を得ることが出来るわけです。既にお気づきの方も多いと思いますが、上記の例では、ポジションを取る際の
リスク許容度も大きな要素となってきます。

つまり、相場観、相場予想に拘る人は、「トレード技術」(どこで買う、どこで売るという判断を行う技術)が持たない限りは、よほどのリスク許容度がないと、収益を残すことは至難であるということです。もちろん、この場合でも、相場観や相場予想が正しいという前提のお話です。言い換えると、相場観、相場予想が正しくても、リスク許容度がかなり大きなものでない限りは、エントリータイミングを間違えば、往々にして、損失に終わるケースが大半だということです。

ここで、ご自分のトレードを振り返って頂きたいのですが、多くの個人投資家の皆様は目の前の相場が気になっているはずです。ここでの「目の前の相場」は「日中の相場」「日中の動き」という意味です。日中に動いている相場に入っていくのは、デイトレードやスイングトレードです。

一方、日中の動きを気にせず、NY終値だけを見て入ったり出たりするのは、日足ベースのトレードであり、ポジショントレードと呼ばれるものです。日足ベースのトレードであれば、基本的には、日足終値だけを見てポジション操作を行いますので、日中にジタバタすることはありません。日中の動きを判断しながら、エントリーしたり、エグジット(手仕舞い)したりするのは、デイトレードであり、スイングトレードであるわけです。

もし、皆様が、日中の動きを注視しながらのデイトレードやスイングトレードを行うのであれば、相場の波に押し流されてしまってはなりません。大事なのは、「相場の波に乗ること」なのです。そして、相場というのは、トレンドのある場合でも、上げ下げしながら、トレンド方向に推移していきます。

つまりは、上昇相場であっても、その途上においては下げる局面もあり、下降相場であっても、その途上においては、上げる局面も、当然のことながらあるわけです。従って、仮に中長期の相場観が間違っていようと、日中の相場の波、動きに乗ることが出来れば収益につながります。

一方、中長期の相場観が正しくても、日中や数日に及ぶ相場の波や動きに乗ることが出来なければ損失につながることになるわけです。ここで、大事なポイントは、外国為替相場と言うのは、中長期のトレンドを狙うのはかなり至難である一方で、日中から数日のトレンドを追うのは、比較的容易であるということです。

また、同様に大事なポイントは、外国為替相場というのは、冒頭でも申し上げた通り、本来、「往ったり来たり」するものだということです。そして、相場変動率というのは、株式相場、特に個別銘柄の動きのようには、決して高いものではないということです。だからこそ、レバレッジを利用して、資金効率を上げてトレードするわけです。それが外貨証拠金取引(FX)のメリットであるわけです。

それでは、この日中や数時間に及ぶ相場の波に乗る為には、何が必要かと言うと、もう既に充分にご承知の通り、「トレード技術」というものです。この「トレード技術」さえあれば、相場観が正しかろうが、間違っていようが、相場の波を把握し、乗ることが出来るようになります。

すなわち、上昇相場でもショートポジションで収益を上げることが出来、下降相場でもロングポジションで収益を上げることが出来るわけです。もちろん、自分の相場観や相場予測の確認を行うことも出来ます。

実は、この点は重要なポイントであり、自分の相場観、相場予測が正しいかどうかのチェック、確認は必須なのです。何故なら、相場には「絶対〜〜」は存在しないからです。従って、自分の相場観を持つのは結構ですが、常に、軌道修正を加えながら相場と共に歩む必要があるということです。

実際のところ、私は、中長期の相場観は主に時間分析に基づいて判断しています。「相場は時間で動いている」という絶対的な考えがベースとなっているからです。そして、出来るだけ、数か月単位の中長期のみならず、数週間程度の比較的短期のスパンにおける天井と底値を付けるタイミングを時間のリズムを計りながら、「予測」していきます。

そして、実際の相場にて売買(トレード)の判断を行う際には、スパンモデルやスーパーボリンジャーでタイミングを計っていくわけです。「相場はタイミングが全て」だからです。

そもそも、相場予想などは必要ないと思っていますが、やはり、全体観をいつも把握するようにしておくことの意味はあります。精神的ストレスがかなり軽減されるからです。例えば、仮に今上昇していても、下落トレンドに入っている可能性が高いから、ほどなく下げ始めるだろうと「推測」出来るからです。

従って、この中長期の相場観をベースにして、日中や数日間のトレンドを追うのが一番効率が良いと私は考えています。ましてや、相場観を抜きにしても、いや、相場観が外れても相場の波の変化を把握することが出来れば、たとえ中長期のトレンドに逆らっていても収益につなげることが出来るわけです。

今年も中長期の相場観を主に時間分析で行い、その上で、スイングトレードを行うことを主眼に置きながら相場と向き合っていきたいと思っています。もちろん、日中の動きも短期のスパンモデルやスーパーボリンジャーで収益チャンスを探索し続けるスタンスには変わりありません。ちょっと欲張りかもしれませんが、さらにチャレンジングなトレードを行っていきたいと思っています。

今年が、皆様にとって素晴らしい1年となることを切にお祈りしております。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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