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マーフィーの日々是好日

あるFX会社幹部の悩み

皆様にとって今年はどのような1年であったでしょうか?満足のいく年であったでしょうか?

投資をやっておられる方に尋ねる質問として、このような質問は愚問であったかもしれませんね。と言うのも、投資において、100パーセント満足な結果を得るということは到底あり得ないからです。よく「頭と尻尾をくれてやれ」と言いますが、胴体(利益)が小さいのが現実であり、「利小損大」(利益が小さく損失が大きい)となっているケースが多いと思われます。人間である以上仕方のないことですね。

それでも、コツコツ収益を積み重ねていけば、1年を通してそれなりの収益増大につながっているはずです。つまり、やはり、外国為替相場では、日頃の小さな収益積み重ねの意味が大きいということです。日頃の小さな収益と言っても、デイトレード(日計りトレード)だけを指すのではありません。スイングトレード(宵越し以上ポジション保有)を軸に、無理のない頻度で売買を繰り返すスタイルが効率的なFXトレード法であると思います。


■ところで、最近、FX会社の幹部の方からご相談を受けることがありました。お客様の取引量が減っているとのことで、悩んで私に連絡をされてきたのです。既にリーマンショック後にかなり減った後、次第に盛り返してきているものの、今年8月からスタートしたレバレッジ規制第1段の影響があったのも要因の一つだったそうです。

ただ、どうも聞いてみると、昨今の相場展開が大きく影響を与えているようです。要約すると、相場が小動きであること、そして、たまに大きく円高方向に動く場面があることが主な要因だと話しておられました。この彼の話を聞きながら色々なことを思い浮かべましたので、以下、私の感想なりを書いてみたいと思います。

まず、たまに円高方向に大きく動く場面で損失を出す個人投資家が相変わらず多いという傾向は昔から見られる特徴でもあります。個人投資家には、依然として、外貨買い方向でエントリーされる方が多数おられるのが実情のようです。俗に言う「スワップ狙い」という感覚で外貨をロング、円をショートにされる個人投資家が多いからでしょう。確か、日本経済新聞にも個人の外貨買いが円高の速度を和らげているという観測記事が載っていたようです。

もっとも、この類の報道にはいつも疑問を感じざるを得ないのですが・・。つまり、私は、個人投資家が買うから上がるのではなく、上がる局面で個人投資家が買うというのが正しいマーケットの解釈だと思っているからです。そもそも、個人投資家に限らず、機関投資家等、大規模で売買する主体を考慮にして考えても同様です。彼らが売買するから動くというより、動いている相場の中で、彼らが売買しているという風に考える方が理にかなっていると思います。

ところで、このように外貨買い円売りの方向でポジションを持っていると、当然のことながら、円高に相場が大きく推移する局面では、損失を被るのは当然のことです。このようなポジションの持ち方は「決め打ち」的であり、外貨が上昇することに対して固定観念的に持っている「相場観」に基づいているケースが多いようです。従って、相場が円高方向に振れる局面にて、ロスカット注文を置いていないと、大きく損失を出してしまう場合が生じることは簡単に想像出来ます。

取引量が減っている理由のもう一つの理由として、相場が小動きであることをFX会社の幹部の方が挙げられていましたが、これは、確かに道理であると思われます。ただ、先ほど申し上げた通り、外国為替相場の取引と言うのは、そもそも、長期で取引することはあまり相応しくありません。

外国為替相場と言うのは、元来、往ったり来たりするものであることから、トレードでは、売ったり買ったり(買ったり売ったり)するのが本来のスタイルであるのが望ましいのです。ただ、この「売ったり買ったり」「買ったり売ったり」というトレードを行うに際して必要となるのが「トレード技術」ですが、どうしても、「トレード技術」をマスターしないうちにトレードしてしまって、利小損大(利益が小さく損失が大きく)なってしまっているケースがあまりにも多いようです。

ましてや、外貨買いの方向でトレードする個人投資家が多いという実情の中で、うまくトレードして利益を確定する前の段階で大きく円高方向に相場が推移してしまって、結局、ポジションを手仕舞うことなく、静かになってしまっている個人投資家も多いと聞かされた点に関しては、どうも深刻のようでした。


■先のFX会社の幹部の方が、上記のような内容の話をしながら、私に尋ねたことが、一体どうしたら個人投資家の取引量を増やすことが出来るかということでした。私は、すかさず「個人投資家の方々に如何にしたら収益を上げることが出来るようになるかの方法をコーチングすることですよ。」と答えました。

「そうすれば、個人投資家はハッピーであり、また、その結果、FX会社も取引量が増えて会社の収益も増えるのではないでしょうか。」ということをお話しました。しかし、あまり、話が大事な核心部分に進むことなく、堂々巡りのような格好となってしまい、私自身はかなりフラストレーションを溜めたのが正直なところでした。

そもそも何か論点がおかしい、変だと思ったのは、取引量が増えない、そして、会社の収益が伸びないのを、相場のせいにしているということです。考えの中心がこちら、つまり会社サイドにあるとしか思えなかったのです。もちろん、会社を経営する人の立場からすれば、会社の収益を一番に考えるのが本来であるものの、その考え方は、あまりにも短絡過ぎると感じたのです。

大事なことは、相場を中心に考えねばならないということです。相場という「商品」を介在してお客様である個人投資家と会社が関わっているわけですから、お客様と会社が同じ次元から一緒になって相場から収益を頂戴する発想でないといけないと思うのです。もちろん、個人投資家自身も、もっと自分のこと中心でなく、目の前の相場の動きを捉えるにはどうしたら良いのかを真剣に考えるべきなのです。考え方の軸を自分サイド、会社サイドでなく、相場である相手サイドに置くべきだということです。

つまりは、先ほどのFX会社の幹部の方が、取引量が増えないのは、相場が基本的には、小動きであること、そして円高方法に大きく振れることがあることと説明しましたが、所詮は「言い訳」にしか聞こえなかったのです。相場は相場の都合で動いているわけですから、自分を、相手である相場に合わせるしか方法はないわけです。相場にとっては、個人であろうが会社であろうが、こちらの収益目標など、知ったことではありません。

例えば、買いのポジションを造成したけれども、利食いレベル達することなく、相場が反落し、評価損の状態となっているとか実現損になった原因を、相手である相場のせいにするのは本末転倒ということです。結局は、個人投資家が正しいトレード技術を学び、それを実践に用いることで、収益を上げ、その結果、取引量も増え、FX会社の収益も増えるということが「あるべき姿」だと思います。

何故、もっと個人投資家が収益を上げることが出来るように、正しい「トレード技術」を伝えることに時間を費やさないのか、これが最大の課題である思い、私なりにFX会社の幹部の人と議論したのですが、堂々巡りのまま終わってしまいました。


■ところで、今般、私の相場分析、トレード方法である「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」を解説した本を出版させて頂きましたが、ぜひ、時間を掛けて充分に理解して頂くことを期待しております。「生兵法は怪我のもと」という言葉がありますが、中途半端に理解して、あとは思い込みだけで、すぐにトレードに入っていかれる個人投資家の方が多いようです。

私は一目均衡表の理解に2年ほどの年月を費やしたのですが、一目均衡表の原本4巻を読むのは大変とは言え、ただ単に読んで表面的に理解する分には、数週間もあれば充分です。ただ、問題は、真に理解して、実際の相場に応用出来るには、1年や2年の年月は必要だということです。つまり、本を読んで理解するのと、実際にトレードで使えるようになるのでは、雲泥の違いがあるということです。

そもそも、一目均衡表の原本4巻を読破することだけでも、どれだけの人が実行したか大いに疑問です。「一目均衡表の研究」という180ページ程度の解説本が出ていますが、その本を読んだ程度で本当に一目均衡表を理解したと思える人はかなり浅はか過ぎると思います。時間論だけをとっても膨大な内容であり、実際に自分で時間分析の研究を行う段階で、相当な時間を要するのは明らかです。

正直申し上げて、私自身が一目均衡表理論を完全にマスターしたかどうかと聞かれると決してそうではないと答えざるを得ないのです。相場とはそれほど奥の深いものだと言うことを重々ご理解頂きたいのです。いずれにしても、その奥の深い一目均衡表理論を研究した上で、その一部を抜粋して作り上げたのが「スパンモデル」です。

極めて実践的であり、初心者の方でも簡単に理解出来るチャートですが、それでも、やはり、実践で使う前には、充分に練習を重ねる必要があります。何となく分かったからと言って、すぐさま自己ポジションを大きく張ってマーケットに入っていくのは極力避けた方が無難です。

一般個人投資家の中には、「お気軽主義」が蔓延しているようで、何でも短時間に簡単に収益が生まれないと気がすまないという人が多いのが気掛かりです。じっくりと時間を掛けて取り組んで頂きたいと思います。最初は小さくポジションを持つようにすることが大事です。それこど、千ドル単位で良いと思います。中には、千ドル単位など、トレードという気がしないという人がいますが、それは、間違った考え方だと思います。千ドル単位のトレードで成功するようになれば、あとは、ポジションを増やすのは簡単なことです。

もちろん、ポジションのサイズを大きくすることで、精神的プレッシャーが大きくなると言う点はありますが、基本的な自分のスタイルを確立するまでは、ポジションサイズは極力小さくすることをお勧めします。ただ、やはり、「デモトレード」はあまり効果がありません。真剣みに欠けるからです。ただ、全く始めての場合、「デモトレード」は悪くないです。とにかく生半可な理解で、思い込みで始めることほど危険なことはありません。

確かに、「スパンモデル」にしても、「スーパーボリンジャー」にしてもチャートそのものは、シンプルであり、簡単なものです。だからこそ使いやすいわけです。それでも、やはり、実践でどんどん使うようになるまでは、極力小さなポジションで慣れて頂きたいということです。はっきり言って、相場は簡単ではありません。一瞬先は闇と言っても過言ではないです。

相場予想をしようものなら、外すのは当たり前のことだとお分かり頂けると思います。そんな難しい相場を相手するわけですから、いかに「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」と言えども、充分に理解し、慣れておく必要があるわけです。今回の書籍出版を契機に、一人でも多くの個人投資家が正しいトレード技術を学ばれ、一人でも多くの方が収益をコンスタントに上げることが出来るようになることを祈るばかりです。とにかく1回や2回読んでハイおしまいではなく、本がぼろぼろになるまで何度でも読んで頂いて、少しずつ実践トレードを積み重ねていかれることをお勧めします。

世界ナンバーワンのカリスマコーチと言われているアンソニー・ロビンズが、社会人になりたての頃、ジム・ローンという人の下で働いていました。ある日、ローン氏が彼に1冊の本を差し出し、「この本を読んでみてほしい」と言いました。アンソニーは、本のタイトルを見て「この本ならもう読みましたよ。」と答えました。すると、ローン氏は、「何回読んだのかね?」と問い返し、こう続けました。

「私はこの本をもう何十回も読んでいる。私は金持ちだ。君はこの本を1回しか読んでいない。君は貧乏だ。その違いがわかるかな。」と。アンソニーはその後、その本を何十回も読み返し、大金持ちになりました。ちなみに、その本は、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」でした。


■この度は『マーフィーの最強スパンモデルFX投資法』アマゾンキャンペーン
に多数のご支援を頂き、誠にありがとうございました。

皆様のおかげで、総合ランキング3位、カテゴリー部門1位を獲得することが
出来ました。

ただ今、感謝の意を込めまして、書籍をご購入頂いた方に、特別キャンペーンを
実施させて頂いております。

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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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