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マーフィーの日々是好日

「相場解説者」と「トレーダー」の違いについて

「相場解説者とトレーダーの違い」をテーマにお話してみたいと思います。

尚、ここで言う「相場解説者」は、一般的に相場の動向を解説したり、予測したりする人々(一般的なアナリスト)であり、「トレーダー」は、自己資金を投じてポジションを持っている個人投資家の大半を対象としています。尚、内容は、あくまで「一般論」であることをご了承して下さい。

以前、「トレードに際しての思い込み」について考察しましたが、「思い込み」は、まさしく、「相場予想」について当てはまるケースが多いです。そして、この「相場予想」が、それを行う人々(相場解説や、トレーダー等)によって、質的に大いに異なってくるということです。

まず、本ブログの読者の大半であると思われる個人投資家の皆様(私も含めてです)について考えてみたいと思います。つまり、私たちは、概ね「トレーダー」に属するとの前提でお話します。私たち「トレーダー」に一般的に見られるものとして、実際にポジションを造成した時に、先ほどの「トレードに際しての思い込み」が原因となって、そのポジションが自分の「相場予想」に従って推移することを期待し、実現するものだと独り決めして信じ込む心の状態になるケースが多いという実情があります。

そして、一旦「思いこむ」と、相場関連で発表されるニュースにしろ、経済指標にしろ、全ての「要因」「材料」に関して、冷静に判断出来なくなる傾向があります。何と言っても致命的なのは、目の前の相場の動きがまともに見えなくなり、当初はそのレベルを越えたら損切り(ロスカット)を想定していた水準に達しても、潔く「目の前の現実」を認めなくなってしまいます。

要するに、相場においては、目の前の現実が全てですが、この現実を認めないということは、その人は、自分の世界に入ってしまっていることになります。ある通貨ペアが上がる、もしくは下がるということが、一旦、その方向に自らがポジションを造成した瞬間以降、あたかも「既定路線」となるわけです。

ところで、相場をやっているとすぐにお分かりになると思いますが、「買い材料」と「売り材料」があります。しかも、それぞれ、無数にあります。具体的に、比較的ポピュラーな「材料」として、「輸出企業の売り」と「輸入企業の買い」があります。日本で聞かれるのは、輸出企業の売りは全て円買いサイドの要因であり、輸入企業の買いは、全て円売りサイドの要因です。例えば、ドル円相場が上がれば、輸入企業の買いが入ったとか、輸出企業の売りが待ち構えているとか説明されます。一方、ドル円相場が下がれば、輸出企業の売りが入ったとか、輸入企業の買いが待ち構えているという風になります。その他、経済指標、政治情勢、その他イベント等、相場に影響を与えると考えられている要因は無限にあると言って良いでしょう。

これらの無数の「相場要因」「相場材料」が相場の世界では面白い現象を引き起こします。それは、一般的には、相場は「要因」「材料」によって動いていると思われがちですが、実は、相場が「要因」「材料」を作っているということです。

何が言いたいかというと、上昇相場では「買い要因」「買い材料」が探され、下降相場では、「売り要因」「売り材料」が探されるということです。このことに関して、「相場を解説する人々」と「実際にトレードをする人々」は、お互いにかなり異なった行動パターンを取るケースが多いようです。

まず、「相場を解説する人々」がどのような行動を取るかと言うと、上昇相場では、相場が上昇している背景説明を行うに都合の良い「要因」「材料」を探し、下降相場では、相場が下降している背景説明を行うに都合の良い「要因」「材料」を探すのです。その意味で、「相場を解説する人々」の大半は「トレンドフォロー型」と言えましょう。

一方、「実際にトレードをする人々」はどのような行動パターンを取るかと言うと、買っている人は、「買い要因」「買い材料」を探し、売っている人は、「売り要因」「売り材料」を探すということです。この現象を以前お話した「トレードに際しての思い込み」と関連付けて考えると、買っている人には、売り材料より買い材料を重要視し、売っている人は、買い材料より売り材料を重視するのです。

「相場を解説する人々(相場解説者)」と「実際にトレードを行う人々(トレーダー)」との決定的な違いは、主体が相場であるか、自分のポジションであるかということです。相場を解説する人々」は、相場が主体である一方で、「実際にトレードを行う人々」にとっての主体は、自分のポジションということです。このことを考えると、「相場を解説する人々」はかなり冷静、沈着であるとも言えます。

逆に言うと、相場を解説しているうちは、比較的、冷静でいられ、沈着でいられる度合いが高いということです。実際問題として、「相場解説者」は、相場が上昇している時に、逆の要因、つまり、「売り要因」「売り材料」にはあまり触れたくないようです。何故なら、相場を論理立てて説明出来ないからです。相場は論理や理屈で動いているわけではないのですが、実際の相場の動きの説明を行うに当たっては、後講釈でも何でも良いから、論理や理屈が必要なのです。

しかしながら、「実際にトレードを行う人々」にとっては、一番可愛い自分のポジションに都合の良い「材料」に目が行きます。主体は、あくまで自分のポジションですから、自分のポジションの方向に合致した「要因」「材料」を探しに行きます。

確かに「相場解説者」は、自分の相場予想をそう簡単には変更出来ないかもしれませんが、中長期の相場予想を大胆に行う勇気のある人はほとんどいないのが実情です。一般的には、中長期相場予測を行うことで、相場予測が外れた場合に自分の首を絞めることになることを恐れる人がいると言えましょう。

その意味で、中長期の相場予測を大胆に行う「相場解説者」は、相当なストレスを抱え込むことにはなります。特に、私がかつて在籍したことのある外資系金融機関では、あまりに大きく相場予測を外すと「クビ」になったアナリストがいたのは事実です。ということで、リスクを背負っているという点では、「相場解説者」も「トレーダー」は、同じ次元に存在しているかもしれません。

ですから、「賢明」なアナリスト(「相場解説者」)はあまり大胆な相場予測をしたがらないものです。アナリスト(相場解説者)としての生命を短くしてしまうリスクがあるからです。(この点は、「相場解説者」を皮肉ってしまいました点、ご容赦下さい)

一方、トレーダー(「実際にトレードを行う人々」)は、結果としての実現収益が全てであって、相場予想が正しいかどうかは問題ではありません。早い話が、相場予測なり、相場観が正しくても、結果としての収益が伴わなければトレーダーとして失格であるわけです。

話は前後してしまいましたが、「相場解説者」と「トレーダー」は、組織に属する人間としてのリスクの次元は同じかもしれませんが、やはり、相場に対するスタンスとして、根本的に立つ基盤が異なります。従って、「相場解説者」と「トレーダー」の相場に対する考え方、姿勢は、同じ相場を相手にしているにもかかわらず、相違点が非常に多いのです。

よく、ポジションを持たないと相場観が良いのに、ポジションを持つと途端に外れる、という方がいらっしゃいますが、根本的な要因としては上記で触れたことと大いに関連しています。このことは、デモトレードであれば上手くいくけれども、小さくてもポジションを持つと損失を被るというケースとも関連しています。

もっとも、ポジションは小さい方が相場の動きを読みやすく、相場の流れについていきやすいようです。小さいポジションの時は順調であったにもかかわらず、大きなポジションを持った途端に大損する人が多いのもうなずけます。このポジションの大小に関係なく、相場の流れを読み、乗ることが出来れば、それこそ一人前と言えましょう。

とにかく、「実際にトレードを行う人々」は、自分の思い込みを決して自分のポジションに反映させず、淡々と相場の流れを追うことが肝要です。「実際にトレードを行う人々」は相場観が正しかろうが間違っていようが、大した問題ではありません。また、現在の相場の推移を論理的に説明することを求められているわけでもありません。

相場の推移を論理的に説明しようするならば、既に述べてきた通り、主体を相場に置くしかありません。そして、上昇なら買い要因や材料」、下降なら売り要因や材料を探してきて「作文」するしかないわけです。つまり、「相場解説者」が得意とする作業です。もちろん、相場で収益を上げることを目指している「トレーダー」にとって、そのような「作業」をしている時間的、精神的、肉体的余裕はありません。

ですから、「目の前の相場の流れについていく」しかないわけです。つまりは、「相場と格闘せずに、相場と友達になって、相場と共に歩む」ことが大切だということです。繰り返しますが、「トレーダー」にとって相場観など大して重要ではありません。相場を客観的に判断する能力に加えて、相場の流れに乗る為の「トレード技術」こそが最重要なのです。

私が、有料掲示板、ブログ、そしてセミナー等で執拗に触れている「トレード技術」を「トレーダー」である皆様が身につけて頂くことこそ、収益を上げるために肝要なわけです。大事な自己資金を投じてFXをされている個人投資家である皆様が手にされる必要があるのは、相場観を磨くことより遙かに重要である「トレード技術」である点、重々ご理解頂ければ幸いです。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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