「円高」と「為替介入」について(続編)
円高懸念の報道記事やコメント等々が目立って増えた感があります。確かに、輸出企業にとっては、事態は一刻の猶予も許されない事態と言えましょう。ドル高だ、円高だと、ある意味「吞気なこと」を言っておられるのは、我々「ディーラー」だけかもしれません。
もちろん、トレードを糧に生計を立てている人達にとっては、「吞気なこと」であるはずはありません。毎日の相場がどうなるかは、まさしく死活問題です。私自身も相場の世界で生きているわけですから、大なり小なり、相場に影響を受けた生活を送っております。
このように「為替介入」に言及する報道やコメントが増えていますが、為替介入が効くか効かないかはその時の相場の地合いに依るものだという点は重要です。過去、幾度となく政府・中央銀行が為替市場に介入してきましたが、いつも効果があったわけではありません。効果があった時は、相場そのものの地合いが既に変化しつつあったという背景があったからこそだという理解が肝要です。
ところで、以前も、本ブログにて言及しましたが、為替介入が入った途端に介入方向と逆向きの大口注文が世界中から殺到したこともあります。為替介入がいつ何時入るかもしれないと市場参加者を疑心暗鬼にしている間は効果があるケースもあります。また、為替介入を期待する向きが増えてくると、介入実施時の効果も半減どころでなく大幅に減退するケースもあります。
昔、こんな言葉がディーラー内で流行ったことがありました。「田舎芝居の国定忠治」です。つまり、劇中の役者が登場する場面が事前に完全に分かっていることの例えであり、娯楽のない田舎では、登場人物がどのタイミングで登場するかが完全に予想出来ていたというものです。そして、このことを、皮肉を交えて、政府・日銀の為替介入に例えたわけです。
日本の政府・日銀の為替介入というのは、それほど、事前に「登場」が分かってしまっていること自体が「特徴」だったということです。もっとも、あの「ミスター円」こと榊原英資元財務官が国際金融局長でいらっしゃった当時は、突発的に仕掛けるかのように「為替介入」が入ったのを覚えています。その時の財務省(当時は、大蔵省)の為替介入担当者の一人が現在の財務省次官でおられる勝栄二郎氏(当時、為替資金課長)でした。
私は、当時シティバンクのチーフディーラーでしたが、勝課長(当時)は頻繁に私に連絡を下さいました。伝わるところによると、榊原氏が「絶対に勝つ介入」をということで、課長である勝氏を全面的に信頼しておられたとのことでした。まさにお名前の通り、効果抜群のタイミングを見計らって介入されていた記憶があります。実際、当時の財務省の国際金融担当チームは、市場との対話を頻繁に行っておられました。市場の一線でトレードしているディーラーから生の声を聞いて、情報を収集されていたからこそ介入にも効果があったのだと思われます。
今回、為替介入があるかどうかは別として、相場が反転するかどうかの最大の要因は、相場の自律的な動き次第だと私は考えます。相場が反転するタイミングに合わせるように介入が入るかどうかと言って良いでしょう。つまりは、為替介入が入ろうが入るまいが、相場の動きをしっかり分析して、追っていくことが、トレードをする上では遙かに重要だということです。
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