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マーフィーの日々是好日

「あくなき探求心」について

昨年9月14日に、イチローが前人未到の9シーズン連続200本安打という大リーグ史上初の偉業を成し遂げました。イチローが記録達成した当日、インタビューが行われましたが、その場で彼が語った言葉の中には、多くの「驚き」(少なくとも私にとって)が含まれていました。その中から、特に印象に残った箇所をご紹介したいと思います。

それは以下の言葉です。

「打撃に関して、これと言う最後の形はない。これでよしという形は絶対にない。でも、今の形が最高だという形を常につくっている。この矛盾した考え方が共存していることが僕の大きな助けになっていると感じている。」

何と、イチローは毎年打撃フォームを改造しているということを私は始めて知ったのです。何回かフォームを変更したことは知っていましたが、毎年、フォーム改造しているのです。あれだけの天才、大打者が理想の打撃フォームを現在もなお追求し続けているわけです。

日本で輝かしい実績(7年連続首位打者、初の200本安打達成者等々)を残して渡米、大リーグの世界に日本人打者として初めて飛び込み、いきなり初年度に242本のヒットを打ち、盗塁王、新人賞はもちろん、リーグMVPまで獲得した選手が、その後も、毎年、打撃フォームを変えてシーズンに臨んでいるという姿には驚嘆するしかありません。

そもそも、なぜそこまでリスクを冒してまでより高いものを追うのかということ、それが「超一流」の証明だとすれば、何と、志が高いというか、普通の人間の感覚ではありえない世界だと思いました。

今回のインタビューや、過去を思い起こしてみて、イチローがいつもシーズン当初は低打率であり、次第に上向くという「スロースターター」と呼ばれる理由が分かったのです。というか、打撃フォームを改良しているわけですから、シーズン初めは打率が上がらないのは当たり前だと思ったのです。

そう言えば、かつてイチローが凡退しても、「自分の中では満足している」と言う類の言葉を言っていたのを覚えています。彼の中では、表面的な結果にかかわらず、理想の打撃を求める過程で納得した上で、それなりに「結果」を出し続けていたわけです。

私は、大リーグの日本人選手の中でも、とりわけ、イチロー選手や松井選手を応援していますが、完璧な打撃フォームの確立は未だ途上であるとのイチローのスタンスを知って、自分を振り返った時、自分のトレードスタイルなど、まだまだ改善の余地があって当たり前だと痛感した次第です。

そう言えば、普段からお話をさせて頂いている若林栄四氏は66歳を過ぎておられますが、今でも、「新たな発見が〜」と仰っています。極める人間というには、何かしら共通の考え方、哲学があるようです。

実は、私も、常日頃から、もっと良い分析方法、トレード方法、「ルール」はないものかと探索しております。決して現状に満足せず、究極の相場分析、さらに良いトレードスタイルを目指して、日夜努力してまいりたいと考えている次第です。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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