相場の「加速度」について
以前、東京工業大学の高安美佐子準教授が経済物理学を紹介した記事を読んだことがあります。高安準教授は、元々、「フラクタル」(相似形)などに関する著書もある物理学者です。
高安氏は、相場を物理学者の立場から解き明かそうとされています。そして、曰く、従来の経済学では為替相場変動のメカニズムがよく分からなかったものの、「経済物理学」という領域は、物理学の手法で解き明かすものであり、相場の変動要因の解明について光が見えてきたと唱えています。
記事では、具体例として、「ブラウン運動」の例を挙げられています。これは、水に浮かんだ花粉の微粒子を顕微鏡で見ると、不規則に動いていることが分かりますが、沢山の水分子が熱運動で無秩序に動いて衝突するために微粒子が動かされるとのこと。
そして、従来は、為替や株の価格はこの微粒子に似て、ランダムに変動するので予測出来ないとされてきました。しかしながら、高安氏曰く、経済物理学の研究を通じて、市場の価格変動の中に法則性があると分かってきたとのこと。
氏によると、価格を一種の粒子だと考えた場合、その動きには、「加速度」があるということ。この「加速度」というのは大変に意味のある要素です。相場には「加速」がつきものだからです。特に長年相場と付き合っている私は、この「加速度」という単語に妙に親近感が湧きました。
さらに、面白い論点として、走っている自動車が急に止まったり、バック出来ないのと同じで、価格も過去の状態を引きずりながら変化していくものだということ、つまり、「相場は過去の動きに影響を受けている」ということです。
私なりに解釈しても、私がとりわけ重視している「遅行スパン」の意味合いもここで確認される格好です。記事では、さらに、説明が続き、今まで、市場参加者の行動は、コインを投げて表が出るか裏が出るかと同じで確率的にしか予測出来ないとされてきましたが、実際には、参加者が他人と同じことをする「順張り」や違うことをする「逆張り」の傾向を持っていることが認識されます。
そして、その強さや方向が時間共に変化していく結果、市場に正や負の加速度が生み出されることが分かるとのこと。それ故、時々刻々、加速度の強さや方向を観測していけば、値動きの「くせ」が分かってくるということです。
このように、やはり、「加速度」についての考察がなされているようです。この点、相場と長年対峙してきた一人の市場参加者として、「加速度」という考え方は実に腑に落ちるものです。
暴落や暴騰に関する解釈も面白いです。売り手と買い手が1対1であれば価格は単純に決まるので不規則な動きはしないけれども、市場への参加者が増えると、価格に「ゆらぎ」が生じるということ。そして、その「ゆらぎ」が市場参加者の「順張り」によって生じる「加速度」によってどんどん増幅されて大きな価格変動を生み出すことが分かるというものです。ここでも、「加速度」が「ゆらぎ」を増幅させる結果と言えるわけです。
と言うわけで、今回の高安氏の解説の中で、「加速度」の重要性をしっかりと再認識しました。相場が、動き出すまでは感じられないけれど、一旦動き出すと相場が「加速」していく展開を思い描くだけで、実に腑に落ちるものがありました。相場の流れの把握、そしての、その流れに乗ることの重要性が改めて分かった次第です。
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