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マーフィーの日々是好日

「アンカリングと確証バイアスについて」

先月12月21日に「行動経済学」という学問の研究対象となっている「ヒューリスティック」についてお話しましたが、今日は、同じく、「行動経済学」の中で紹介されることのある「アンカリング」と「確証バイアス」にて触れてみたいと思います。

「アンカリング」というのは、不確実性のある事象について予測する時に、初めにある値(アンカー=いかり)を設定し、その後で調整を行って最終的な予測値を確定するということを指します。その最終予測は、最初に設定した予測値が大きく影響を与えるというバイアスが生じるという現象というものです。

例えば、ある日の為替相場のレンジ予想をする場合に、前日の終値がアンカーの役割を果たしてしまい、その日のこれから起こる予想レンジの決定に大きく影響を与えるようなケースです。

確かに、このような現象は、私たちが日常によく経験することで、週初にその1週間の相場予想をする場合に、前週の終わりの動きを参考にするアナリスト、トレーダーはやたら多いです。大手と言われている銀行や証券会社が発行するマーケットレポートも概ねこのような背景で書かれているケースが多いようです。その結果、週初の相場予想が外れるケースが頻繁に生じているのは皆様もよくご存知であると思います。

もっとも、私自身もかつては「組織」に属していた為、知らず知らずのうちに「無難なコメント、解説」を書いていた記憶があります。レポート内容に関して、やはり、ある程度の制約を受けるのは致し方ないのかもしれませんが、そういうこと現実自体を、個人投資家の皆様も知っておくことは決して損ではないと思います。

ところで、「アンカリング効果」から、「確証バイアス」という傾向が生じることも多いです。この「確証バイアス」とは、いったん自分の相場予測を決めると、自分の相場観に都合の良い材料を集めて、それを裏付ける情報ばかりに目がいき、自分の相場観に逆らう情報を無視、軽視するようなケースです。これは、「確証バイアス」から自信過剰という傾向が生じることもあり、かなり「たちの悪い」現象とも言えます。

確かに、自分自身を振り返ってみても、自分の相場観に都合の良い相場材料を探し出してくる、もしくは、自分の相場観とは異なる内容の相場材料を無視する傾向はあると認めざるを得ません。

このようにみてくると、人間というのは、実に信じやすい動物、と言えるのではないでしょうか。それほど、私たちが考えていることというのは、バイアスを持つ傾向があるという現実をしっかりと「事前に知っておく」必要がありそうです。

毎日のトレードを行うに際しても、朝一番の相場観というものは、その時点ですでに過去になった相場(例えば前日の動きなど)が大きく影響を与えます。さらに、こういう行動パターンをとる「市場関係者」が似たような相場観を持つことによって、市場のセンチメントはさらに増幅されます。

現代のような高度な情報化社会に生きていますと、私達個人投資家も、否応なしに周りから雑音が入ります。自分の基盤となる相場哲学、分析基盤をしっかりと持った上でマーケットを分析する必要がどれだけ大切かが、充分お分かり頂けると思います。

しっかりと「根拠ある判断」を行える「トレード技術」を持っておくことがどれだけ大切か、もう十分にお分かりかと思います。実際に大事な自己資金を投じて、ポジションを持って相場の世界に参加する為には、人間が本来持つ弱さを克服する意味においても、正しい「トレード技術」を磨くことが必須であることを改めて、ご理解頂ければと思います。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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