「ヒューリスティック」について
今日は、「ヒューリスティクス」についてお話したいと思います。
「ヒューリスティクス」とは、問題を解決したり、不確実なことがらに対して判断を下したりする必要がある時に使う便宜的な方法のことです。日本語では、簡便法、目の子算などと訳されます。
「相場の予想」など、不確実性のある場合の判断など、「確率」が必要となる為、私たちが「確率」をどのように捉えるかが重要となってきます。
例えば、ドル相場が上昇するか下落するかというような「予想」「見込み」を出す時に、上昇する確率や下落する確率は、通常何らかの根拠に基づいて客観的に判断されるはずです。
しかし、実際のところは、相場の雰囲気等に基づいて、直感的な判断によってなされ、いわば「主観確率」でもって判断されるケースが多いようです。
一般的に人間は確率や頻度についての判断を下す上で幾つかの「ヒューリスティクス」を用いますが、それによって得られる判断には客観的な正しい評価とは大きく隔たることが多く、しばしば「バイアス」を伴うものであると考えられます。
ところで、「ヒューリスティクス」の一つに、「利用可能性」というものがあります。私たちが身近に見たり、聞いたりしているもの(最近の事例、顕著な事例など)に基づいて、無意識に判断することが多いということです。
特に、過去の記憶などを呼び起こしながら判断するケースです。
記憶した内容がその後様々に影響されていたり、改変されていたり、また、一部しか覚えていなかったりすることは日常よくあることです。
そういった各人の過去の記憶に基づいて判断されるわけですから当然の結果として、「バイアス」が入るわけです。
さらに、「ヒューリスティクス」の二つ目として、「利用可能性」という要素があります。
これは、マスメディアや、友人、知人などからもたらされた情報などは、信頼性が高いと判断しがちであり、知らず知らずのうちに、自分の価値判断基準のベースとしてしまうケースを指します。
特に、一般的に「権威がある」と言われる人物が話す、書く情報に対して、必要以上に価値を置いてしまう傾向があります。
およそ、相場で生きる人間にとっては何の価値もない、むしろ百害あって一利なしの情報であることも多いのですが、一般的には、影響を受けてしまって判断基準にしてしまうことがあるのです。
「ヒューリスティクス」の三つ目が「後知恵バイアス」です。起こってしまった後で、「そうなると思っていた」とか、「そうなることは初めからわかっていた」などと言うことはよくあることです。
このように、結果を知ってから、あたかもそれを予見していたかのように考えてしまうバイアスを「後知恵バイアス」と言います。
ドルが上昇した後で、「ああ、やっぱり上昇した。実は自分が当初はそう思っていたんだけどなあ。」とか、ポジションを持っていない時には、全て相場を後から解釈する傾向があり、相場ってそんなに難しくないと思い込みがちです。
それ故、ポジションを持っても簡単に儲かると錯覚し、実際に持つとアゲンスト(思惑と逆方向に相場が動く)になって損をしてしまうケースは枚挙に暇がありません。
それにしても、人間というのは、自分では客観的に判断していると思っていても、どれほどバイアスのかかった分析結果となっていることが多いのか不思議なくらいです。
それでも、自分自身がそういう「ヒューリスティクス」に頼っているということを自覚していれば、まだ救われるのですが、どうも現実は違うようです。
相場の世界で生き残る為には、自分を知ることが大切です。自分を知れば謙虚になれます。
人間というのは、どれほど弱いものか認識出来れば、相場観一つとっても、慎重になると思われますし、生き残る為に一体何が必要で何が不必要であるかの判断が出来るようになると思います。
いわゆる「ファンダメンタルズ」が「不安だメンタルズ」と言い換えても良いと判断しているのは、私だけではないと考えます。
やはり、私の場合は、人間の弱さである「ヒューリスティクス」を克服する最善の方法は「テクニカル分析」であると思います。
ただし、本物の分析手法を身に付ける必要があるのは言うまでもありません。
■現在の相場観(独断と偏見)
ドル円相場は、どこまで上昇するのか、ユーロドル相場はどこまで下落するのか気になるところです。
日足ベースのスパンモデルで判断する限り、ドル円相場は現在、続伸か反落かの分岐点に位置しているようです。理由は、遅行スパンの位置です。数日以内に方向性が決まるようです。
尚、日足スーパーボリンジャーでは、ドル上昇トレンド入りを示唆しています。本日現在、89.80円以上で引ける(ニューヨーク市場終値)限りはトレンド継続ですが、同レベルを下回って引けると、反落、調整局面入りの可能性が高まりそうです。
ユーロドル相場は、日足ベースのスパンモデル、スーパーボリンジャー共に、引き続き、ユーロ下落トレンド継続中であることを示しています。
もっとも、週足ベースで見ると、一旦、ユーロ下げ止まることを示す兆候も出ています。今週押しこんだところは、あまりユーロベアになり過ぎない方が無難かもしれません。
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