フラクタル理論と時間分析について(その2)
私の知っている限りでは、この「カオス理論」を応用した分析手法として、特別にプログラムした平滑移動平均線、及び、同じく特殊なオシレーターを併用させたモデルがあります。ただ、実際の分析方法の段階では、チャート上にて、上記の「カオス」の特徴の一つである「自己相似(フラクタル)」を如何に発見するかがキーポイントのようです。
実は、私は、この「フラクタル」に以前から興味を持っており、相場の相似性をいつも追い求めています。現在の 動きを過去の様々な局面の動きに見出して、今後の動きを予測しようと努めています。相場を時間のリズムから捉え、今後の動きを探ろうとするのは、この「フラクタル」の考え方に基づいていると思っています。そのため、私は、「時間分析」を殊のほか重視しています。
ところで、「フラクタル」と は、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念で、図形の部分と全体が自己相似になっているものを指します。フラクタルな図形は自然界のあらゆる場面で出現されるとされ(例:樹木の枝分かれ)、自然科学の新たなアプローチ手法となりました。また、自然界で多くみられる一見不規則な変動 (カオス)をグラフにプロットするとそのグラフはフラクタルな性質を示すことが知られています。
実は、この分析手法の根底に流れる最重要の投資方針は、一般的に言って相場の80−85%程度に見られる「保ち合い」局面を如何に避けて、残りの15−20%の明確なトレンド局面に如何に参入するかという点です。相場で成功する鍵の一つは、大きく儲かる可能性のある取引だけを行い、あまり儲からない取引には手を出さないことだと考えられるからです。
例えば、保ち合い、レンジ相場の局面では、あまり積極的に参入してはならないということです。保ち合い相場だから、レンジを決めて上がれば売り、下がれば買いを繰り返せば良いではないか、とはならないわけです。保ち合い相場というのは、あくまで現在から振り返って過去の相場に対して 初めて言えることだというわけです。
そして、相場に参加することの最大の目的が収益を上げること(中にはそうでない人々もいるかもしれませんが)である以上、損する(し易い)相場局面では、決して参入しないこと、そして、儲かりやすい相場局面が訪れたら逃さず一刻も早く参入することを目指すわけです。
この相場が動き出すタイミングをどのように見つけるかがポイントであり、その分析手法として、チャート上に「自己相似(フラクタル)」を見出すことが最優先となってくるわけです。そして、この見出す作業は実は「波動」の発見をするのと同じ類のことであることが分かります。
文章だけだと、ちょっと分かり難くて恐縮ですが、相場が膠着状態に入った時というのは、じっとポジションを控えて我慢する必要があるわけですが、それは次の大きな動きの為の準備期間だということです。
ところで、あの「一目均衡表理論」の骨子の一つとして、「準備構成期間」というものがあります。例えば、26日、33日、42日といった期間、相場が小さなレンジ内で動く期間です。そして、相場が「離れて」いく時に、転換線、基準線、遅行スパン等々で相場への参入のタイミングを図るわけです。
そして、この相場の初期段階、準備構成期間を発見する、そしてモニターすることが実は大きな意味のある作業となるわけです。ある相場で絶好のポジションを持てるかどうかは、全てこの「準備構成期間」直後の行動に拠るといっても過言ではありません。
それが、先ほど申し上げた、チャートに「自己相似(フラクタル)」を見出す作業と同じ類のことであるわけです。その意味では、一目山人(一目均衡表理論の「創始者」)は、最先端の科学である「カオス理論」を真っ先に相場に応用した偉大な人物だったと言えるかもしれません。
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