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マーフィーの日々是好日

フラクタル理論と時間分析について

この最近、ドル円相場は膠着相場が続いています。保ち合い相場、レンジ相場等々、様々な表現はありますが、要するに、面白くない、儲かりにくい相場であることは事実です。

この状況を私たち投資家はどう生かしていくべきでしょうか?ただ、手をこまねいているだけで良いのでしょうか?それとも、無理にでもポジションを持つべきなのでしょうか?

普段私たちが市場に参加して相場を張る時の判断基準は、過去の動きです。少なくとも過去数ヶ月、相場がどう動いたかを脳裏に焼き付けている為に、これから先の動きを予測する上での決定的に大きな判断材料となります。

「原因」があって「結果」があるという論理は、私たちが自明の理として認識していますが、これを相場の世界に当てはめて考えてみると、「材料」があって、「相場」があるということになります。逆に言うと、「相場」は「材料」がないと動かないということになります。

しかし、果たして現実の相場はどうでしょうか。突然動き出すことがあります。もちろん、大量の玉が出たからとか、背景に需給の変化があるからとか、材料出尽くしとか色々と説明されますが、実際には「材料」が「後講釈」にしか聞こえないケースが大半です。

このような相場の突発的な動きにどう対処すればよいのでしょうか?もちろん、如何なるマーケットでも、買い材料、売り材料は枚挙に暇が無いほど存在するわけで、後講釈的に説明はなされるわけですが、果たして投資家としての市場参加者である私たちはどう行動すれば良いのでしょうか?

ここで、私は、新次元の分析が有効になってくるのではないかと考えます。それは、どんな理論かと申しますと、「カオス理論」と呼ばれる新しい分野(物理学)の理論です。定義としては、予測できない複雑かつ不規則な様子を示す現象を扱う理論です(ここで言う予測できないとは、現在人間の持っている数値計算手段ではという意味で、例えのことです)。

「カオス」には以下の特徴があると言われます。

1) 自己相似(フラクタル)

2) 単純な数式からランダムに見える複雑な振る舞いが発生する。

3) 初期値のごくわずかなずれが、将来の結果に甚大な差を生み出す
  (バタフライ効果)。

4) 過去の観測データから将来の長期予測が困難となる。

この「カオス理論」を相場分析に応用しようと試みが近年になって現れてきました。それこそ、スーパーコンピューターを用いて血のにじむ研究がなされているようですが、一部は私たちのパソコンでも使用出来るレベルで還元されてきているようです。

私の知っている限りでは、この「カオス理論」を応用した分析手法として、特別にプログラムした平滑移動平均線、及び、同じく特殊なオシレーターを併用させたモデルがあります。ただ、実際の分析方法の段階では、チャート上にて、上記の「カオス」の特徴の一つである「自己相似(フラクタル)」を如何に発見するかがキーポイントのようです。

実は、私は、この「フラクタル」に以前から興味を持っており、相場の相似性をいつも追い求めています。現在の動きを過去の様々な局面の動きに見出して、今後の動きを予測しようと努めています。相場を時間のリズムから捉え、今後の動きを探ろうとするのは、この「フラクタル」の考え方に基づいていると思っています。そのため、私は、「時間分析」を殊のほか重視しています。

ところで、「フラクタル」とは、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念で、図形の部分と全体が自己相似になっているものを指します。フラクタルな図形は自然界のあらゆる場面で出現されるとされ(例:樹木の枝分かれ)、自然科学の新たなアプローチ手法となりました。また、自然界で多くみられる一見不規則な変動(カオス)をグラフにプロットするとそのグラフはフラクタルな性質を示すことが知られています。

実は、この分析手法の根底に流れる最重要の投資方針は、一般的に言って相場の80−85%程度に見られる「保ち合い」局面を如何に避けて、残りの15−20%の明確なトレンド局面に如何に参入するかという点です。相場で成功する鍵の一つは、大きく儲かる可能性のある取引だけを行い、あまり儲からない取引には手を出さないことだと考えられるからです。

例えば、ここ最近のドル円相場は保ち合い局面であり、決して参入してはならないということです。保ち合い相場だから、レンジを決めて上がれば売り、下がれば買いを繰り返せば良いではないか、とはならないわけです。保ち合い相場というのは、あくまで現在から振り返って過去の相場に対して初めて言えることだというわけです。

そして、相場に参加することの最大の目的が収益を上げること(中にはそうでない人々もいるかもしれませんが)である以上、損する(し易い)相場局面では、決して参入しないこと、そして、儲かりやすい相場局面が訪れたら逃さず一刻も早く参入することを目指すわけです。

この相場が動き出すタイミングをどのように見つけるかがポイントであり、その分析手法として、チャート上に「自己相似(フラクタル)」を見出すことが最優先となってくるわけです。そして、この見出す作業は実は「波動」の発見をするのと同じ類のことであることが分かります。

文章だけだと、ちょっと分かり難くて恐縮ですが、相場が膠着状態に入った時というのは、じっとポジションを控えて我慢する必要があるわけですが、それは次の大きな動きの為の準備期間だということです。今のドル円相場が良い例だと言えます。

ところで、あの「一目均衡表理論」の骨子の一つとして、「準備構成期間」というものがあります。例えば、26日、33日、42日といった期間、相場が小さなレンジ内で動く期間です。そして、相場が「離れて」いく時に、転換線、基準線、遅行スパン等々で相場への参入のタイミングを図るわけです。

そして、この相場の初期段階、準備構成期間を発見する、そしてモニターすることが実は大きな意味のある作業となるわけです。ある相場で絶好のポジションを持てるかどうかは、全てこの「準備構成期間」直後の行動に拠るといっても過言ではありません。

それが、先ほど申し上げた、チャートに「自己相似(フラクタル)」を見出す作業と同じ類のことであるわけです。その意味では、一目山人(一目均衡表理論の「創始者」)は、最先端の科学である「カオス理論」を真っ先に相場に応用した偉大な人物だったと言えるかもしれません。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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