9勝6敗は最強?!
■いきなり、昔の話をさせていただきますが、FX(外貨証拠金取引)がまだ誕生する前の1995年当時、ドル円相場が100円をブレイクし、90円、80円とドル急落した時の個人投資家の外貨預金への関心度はとてつもなく大きかったことを覚えています。
当時、私は米シティバンクの東京支店にて外国為替部長として、国内の外資系銀行として最大規模のトレーディングチームを率いていました。そして、シティバンクは日本市場にて深く食い込み、個人金融という部門にて日本国中に数多くの個人投資家を顧客に持っていました。
しかも、富裕層とも言うべき大口預金者を多数抱えていたこと、そして、その多くお客様が外貨預金に殊更関心を持っておられたという背景もあって、私は、個人金融部門の米国人責任者から頻繁に外国為替相場に関するレポートを顧客向けに書くように依頼され、トレードの合間を縫ってレポート作成に時間を割いていたのを覚えています。
レポート配信回数は月2回だけでしたが、部数に関しては、何と、当時の日本経済新聞社が発行していた「日経金融新聞」を上回っていました。「日経金融新聞」はその後、2008年1月に廃刊となり、現在の「日経ヴェリタス」に引き継がれましたが、当時の「日経金融新聞」の発行部数は、4万から5万部であったと聞いています。
「日経金融新聞」と言えば、プロの金融マンはもとより、個人も含めて、金融を極めようとしている人々の中では絶大な人気を誇っていました。その「日経金融新聞」を少なくとも部数の上で上回っていたのがシティバンクの顧客向けレポートだったのです。要するに、それほど、個人投資家の関心度が高かったと言えましょう。
私は、外国為替トレーディング部門の最高責任者でしたので、こういった個人顧客向けのレポートのみならず、セミナー等を依頼されることも増えていきました。最初の頃は、銀行内の大会議室で開催していたのですが、やがて「帝国ホテル」の大広間を用いて開催するに至ったのは興味深いことです。
そして、シティバンク内の個人顧客向けセミナーへの参加条件として、預金残高2千万円以上という条件を付けても、毎回、数百人程度に参加人数を制限せざるを得ないほどの盛況が続いたのです。記憶を辿ると、セミナー会場の前列には、私の顔写真が入ったレポートを片手に握りしめて真剣な眼差しでこちらを睨んでおられたお客様が多数おられた光景を未だに忘れられません。
■話は戻って、1995年に入ってすぐに円高傾向が鮮明となり、ドル円相場が、4月に90円から80円に向けて下げる局面での、個人による外貨預金人気は、絶大なものでした。
早い話が、1ドル=100円というレベルを見た時点で、すでに、個人による外貨預金人気が大きく高まっていたわけですが、1ドル=90円、80円とドル急落する局面で、個人投資家が「ひるむ」どころか、逆に「勢いを増す」格好となり、円投方式(円資金で外貨を購入する方法)で、ドルやその他の外貨を買っておられたことを記憶しています。
当時のシティバンクのディーリングルーム内には、こういった個人客の外貨買い注文が毎日大量に入ってきました。しかも、注文の金額があまりにも大きいので、単位を確認したほどでした。結局、皆様もご存じの通り、ドル円相場については、1995年4月19日に1ドル=79.75円を付けた後、ドル反転・上昇開始し、8月には90円の壁をブレイク、9月には100円の「レジスタンス」も抜けていったのです。興味深い現象としては、1ドル=80円台、90円台でドルを購入された個人投資家の利食いの外貨売り注文が1ドル=100円近辺で大量に並んだことです。
その当時は、FX(外国為替証拠金取引)なるものは未だ存在しておらず、外貨預金を通じての外貨買い、外貨預金の解約を通じての外貨売りしか、個人投資家は「トレード」出来なかったわけです。当然のことながら、買いを先行させることしか出来ず、売りから入ることは出来ませんでした。もっとも、1995年4月以降、1998年8月に1ドル=147円までドル上昇したわけですから、結果的には、買いを先行させることは功を奏したことにはなったわけです。もちろん、1998年8月からのドル暴落によって、大きな痛手を被った個人投資家が続出したことも事実です。
外貨預金を通じての外貨の売買(実際には買ってから売る)ですから、手数料はかなり高かったです。スプレッドも今のFXに比べたら雲泥の差以上です。もちろん、銀行にとっては、その分、大きな収益源であったわけですが・・・。
■最近では、各FX会社が提供しているサービス内容を見ると、手数料無料は当たり前、スプレッドもないに等しいほどです。個人投資家にとっては、極端に有利な環境にあると言えましょう。1995年当時とは比較にならないとは言え、昨今のFX会社の顧客獲得競争を巡っての過剰とも言えるサービス向上は、FX会社の経営にとっては厳しいものの、顧客にとっては大いに評価されてしかるべきでしょう。
このような最高のサービスレベルの環境下にあって、あとは、皆様がどこまで正しい「トレード技術」を自ら習得されていくかに掛ってくるということです。相場を「予想」することは大して重要ではなく、実際の相場にて、どこで買いどこで売るかということ、いつ買っていつ売るかということを、具体的に判断する技術を身につけることが最重要となってきます。
「トレード技術」を身につけないと、たとえ相場予想は正しくても、結果として収益を得ることは出来ず、損失だけが膨らんでいくことになりかねません。ロスカットを覚えることが大事だとよく言われますが、それも、この「トレード技術」の1つに過ぎません。
尚、自分自身が納得して、体系立てた、自分が置かれた投資環境(トレードに割ける時間、資金量、リスク許容度)に合致したトレードスタイルを確立するまでは、最小単位での「実践トレード」をお勧めします。ここで言う最少単位とは、千ドル程度の単位でトレードを念頭に置いています。決して大袈裟ではなく、1万ドル単位のトレードでは、大き過ぎるわけです。とにかく、自分のスタイルが確立するまでは、ポジションは小さければ小さいほど良いわけです。
もっとも、「デモトレード」では、実際にポジションを持った時の臨場感はなく、ストレスを経験することも出来ません。人間は弱い生き物ですから、どうしても「やすき」に流れやすいです。その意味で、たとえ小さくても「ストレス」を経験することが大事です。そもそも、人間とは、どのような行動においても、「苦痛を避けて快楽を得ようとする」わけです。
トレードにおいて、このように「苦痛を避けて快楽を得ようとする」と、必然的に、収益が小さく、損失が大きくなります。理由を単純化してご説明すると、利益は早く実現させようとし、損失は先送りしたくなるからです。従って、並の普通の精神の持ち主が、普通にトレードすれば、回数を重ねれば重ねるほど、右肩下がりの収支ラインとなります。収益が伸びず、損失が膨らむ結果ですから、当然のことと言えますね。
この人間本来の行動パターンを知り、さらに、少しばかり心理学を学ぶかどうかで、かなり結果は異なったものとなるでしょう。私は、トレードでは、「9勝6敗」が最強だと思っています。相場が相手ですから、15勝全勝は不可能ですが、13勝2敗、12勝3敗でもかなり難しいです。
一方、2勝13敗、3勝12敗でトータル収益が残るほど、FXは甘くありません。一部で、格好良く、勝ちの数が極端に少なくてもトータルで勝つことが大事だと言う人がいますが、それは、あくまで「理想論」です。このような「理想論」を唱える方は、実際には、自分がそう出来なかったから、そう出来れば良いと単に「夢物語」を語っているに過ぎないケースが大半です。すなわち、机上の空論なわけです。
このように考えると、現実問題、やはり9勝6敗が最強だと言えましょう。そして、この9勝の値幅を出来るだけ大きくし、6敗の値幅を出来るだけ小さくすることが出来る「トレード技術」こそが、皆様が習得されるべき、正しい「トレード技術」であると思います。どうぞ、FXを通じて、経済的幸福を大なり小なり得られる為にも、ゆっくりと時間を掛けて(時間にレバレッジを掛けて)、「トレード技術」を学ばれることをお勧めします。それまでは、決して資金にレバレッジを掛け過ぎないことを肝に銘じることが大事だと思います。
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