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マーフィーの日々是好日

「規制強化、円高長期化、クロス円膠着化」に負けないトレード

■最近このようなことを聞きました。「規制強化や円高長期化、クロス円のレンジ膠着などによって個人の為替離れが起きている」と。以下、この内容について、少し考えてみたいと思います。

まず、「規制強化」についてです。規制強化とは、つまり、証拠金倍率(レバレッジ)に対する規制のことです。証拠金倍率とは、証券会社等に預ける証拠金(保証金)と取引額の割合のことであり、今年の8月からすでに50倍になっていますが、来年の8月から25倍になるというものです。確かに、少し前までは、100倍は当たり前、200倍、300倍も見られ、500倍、600倍もOKというFX会社すら存在したくらいです。その意味では、今年8月以降は、大幅な規制強化が実施されたとは言えましょう。

しかしながら、そもそも、100倍という倍率でさえ異常に高かったとも言えます。その意味では、50倍や25倍に抑えられるのは、むしろ健全とも言えると私は考えます。ところで、レバレッジ規制そのものは、個人が本格的に外国為替取引を始めた2000年頃以前より国際金融市場ではテーマとなっていました。アジア通貨危機が生じた1997年やアメリカの大手ヘッジファンドであるLTCMが破綻に追い込まれた1998年頃に、既に重要議題となっていたわけです。

あの当時のヘッジファンドでさえ、5倍程度のレバレッジで取引を行っていたわけですから、彼らの高度なデリバティブを通じた運用との違いもあって単純比較は出来ないにしても、50倍や25倍のレバレッジが決して低いわけではないと思います。と言うわけで、レバレッジ規制で影響を受けたり、痛手を被ったりするのは、ハイレバレッジを「売り」としていたFX会社であって、決して個人ではないのです。

個人投資家の皆様は、適度なレバレッジの元で健全なスタイルでトレードされることになりますので、決して悲観する内容のものではなく、むしろ歓迎すべき規制とも言えるわけです。


■続いて、「円高長期化」に関して、この点は、「クロス円相場のレンジ膠着」とも関連しますが、問題点は、外国為替相場そのものに対する捉え方、スタンスに依るものだと思います。先ほどの「レバレッジ規制」も絡めて考えると、確かに、外国為替相場は、株式相場ほど変動率は大きくありません。その為、FXでは、株式相場の取引で一般的に行われている信用取引のレバレッジが3倍程度であるのに対して、より大きなレバレッジが必要となってくるのは当然のことと言えます。

それでも、大きなレバレッジが効いているのがFXの最大の特徴であり、毎日の相場を相手に収益機会を得ることが出来るわけです。仮に、1万通貨単位で取引していると仮定して、ドル円相場で1円動けば1万円変動するわけです。1万通貨を単位とした取引を行うのに必要な保証金から考えても、非常に大きな相場変動リスクを取ることが可能になるということは容易にお分かりかと思います。また、当然のことながら、「リスク」はチャンスでもあるわけですから、大きな収益機会をもたらしてくれるのがFXであるわけです。


■ところで、前回でも触れましたが、昨今のFX会社、証券会社の顧客サービスの向上度合いは「尋常と思えないくらいのレベル」に達していると考えられます。1ポイント以下のスプレッドや、約定率の向上など、それぞれのFX会社や証券会社が、自らの収益の為とは言え、かなりの無理をして顧客獲得競争をしていると想定されます。

中には取引時間や相場状況に関わらず、固定スプレッドを売りにしている先もあるぐらいです。この固定スプレッドについては、長年、外国為替相場に携わってきた一市場参加者として、「あり得ないほどの高水準のサービス」と考えられます。そもそも、たとえスプレッドが大きくても、プライス(価格)が存在するだけでもありがたいという市場環境でも生き残ってきた私のような人間からすれば、今の投資環境は「天国」と言っても過言ではありません。

市場に常に流動性があるということ、つまりは、価格が存在すること自体、そもそも、マーケットに生きる人間にとっては、決して「与件」(与えられた条件)ではありません。私は、かつては、重要経済指標が発表にある直前には、ポジションのサイズを大幅に落としていました。何故なら、経済指標の発表結果内容が、事前予想と大幅に違って、相場が大きく変動する可能性が常に存在していたからです。

この相場変動の可能性については、本来、昔も今の同じはずなのですが、最近では、リーマンショック等で大きく荒れた時期を除いて、市場から価格が「消える」ということはほとんどあり得ません。「スリッページ(すべり)」自体、過去では当たり前のように起きていました。それが、本来の外国為替市場であったのです。

ここに笑い話とは言えない「実話」があります。

私がかつて在籍した邦銀にて、ある海外支店にいたチーフディーラーが、ある重要経済指標の発表直後に、相場が当初の思惑と違った方向に動いたので、自らのポジションを手仕舞しようと思って、価格を求めるべく、ブローカー(仲介業者)に求めた時のことです。彼はドル円のロング(買い)ポジションを持っており、市場で売り戻してスクウェアにしようとしました。実際の価格の大台は忘れましたが、ここでは説明を分かりやすくする為に、仮に大台を83円としておきましょう。「80 Bid(買値80銭)」とブローカーが叫ぶので、彼は「Yours(ユアーズ、売り)」と叫びました。これは、83円80銭の買値が見えたので、その買値を叩いて「売ろうとした」ということです。
 
しかしながら、途端に、ブローカーは、「Change(チェンジ、変更になった)!!」と叫び、続けて「70 Bid(買値70銭)」と叫んだのです。つまり、価格が変更になり、83円80銭が83円70銭に変更になったわけです。つまり、ドル円相場が下がったわけです。チーフディーラー氏は、納得いかないものの、それでも良いと思い、すかさず、「Yours(ユアーズ、売り)」と叫びました。ところが、またしても、ブローカーサイドから、「Change(チェンジ、変更になった)!!」との声が・・。そして、続けて「60 Bid(買値60銭)」と聞こえてきたのです。

この繰り返しが続き、何と、チーフディーラー氏がようやく売れたのは、20銭(83円20銭)だったのです。すなわち、当初は、83円80銭で売るはずのところが、実際には、83円20銭で売るはめとなったわけです。その差、60銭ですから、元々のポジションサイズからして、予想外に「損失」を拡大させたことは言うまでもありません。

実は、この話には、続きがありまして、実際のマーケットは、20銭まで売られた後、反転し、逆に、どんどんと上昇していき、チーフディーラー氏が当初に売ろうとしていた水準であった80銭レベルにまで戻るのにあまり時間が掛からなかったのです。買値(Bid)がないうちは、どんどんと下げていき、一旦、買値(Bid)が現れたと思うと、そこが底となり、反転・上昇という、ある意味、典型的な「往って来い」の往来相場となったのです。

相場の格言に、「押しのない相場は暴騰し、戻りのない相場は暴落する」というのがありますが、その時の相場は、売りたい時は買い手がいない為に、誰も売れず、相場はどんどんと下げていき、誰でも売れる段階となると、もはや、それ以上は下がらず、あとは上がるのみという、まさに相場らしい動きを見せつけられたわけです。

チーフディーラー氏は、この一連の動きを味わわされた後に、苦笑いしながら電話で話してくれたのですが、私自身もこの類のマーケットは無数に経験してきました。ですから、基本的には買いたい時には買うことが出来、売りたい時には売ることが出来るのは当然である上に、価格自体のスプレッド(BidとOfferの開き)が極小であるという、昨今のFX市場の「異常なほどの流動性の存在」には驚かされる次第です。

もちろん、FXが、このように個人投資家にとって好環境であること自体、喜ばしいことなのですが、この背景には、涙ぐましいFX会社、証券会社の努力があることを忘れてはなりません。と同時に、実際の外国為替市場の恐ろしさが個人投資家にまで伝わっていないのが気掛かりとも言えそうです。いつなんどき、最近で言えば、2008年の時のような動きがないとも限りませんし、何らかの突発的な動きが生じて価格が「消えて」しまうリスクが生じないとも限りません。砂上の楼閣」とは言いたくありませんが、現在、FXにおいて、本来の相場からはあり得えない無類の好環境の下でトレード出来ているのだという理解が必要だと思います。


■またまた、いつものように、話が飛んでしまいましたが、「円高長期化」や「クロス円相場のレンジ膠着」という状況自体、延々と続くものではないにしろ、こういった昨今のマーケット地合いの中でも、収益チャンスは幾らでも存在しているということを知っておく必要があります。最初に申し上げた通り、外国為替相場の変動率は、通常であれば、さほど大きなものではありません。従って、ある程度のレバレッジを付けてトレードするのが理に適っているわけです。

その上で大切なことは、あまりに長いスパンのトレンドを追うのではなく、比較的短期、もしくはせいぜい中期のスパンのトレンドを追うのがベストと考えます。1日に動く1円や100ポイントの動きを大事にして、収益チャンスに結び付けていくことこそ、FXの醍醐味なのです。1年で15円(1500ポイント)や20円(2000ポイント)の値幅を一気に狙うのは至難です。しかしながら、毎日の1円や100ポイントを大事にして、積み重ねていけば、250営業日分、すなわち、250円や25000ポイントの値幅の中での「ここぞという場面」だけを相手していけば、結果として、15円(1500ポイント)や20円(2000ポイント)の値幅を取ることは可能となるわけです。ですから、「円高長期化」とか、「クロス円相場のレンジ膠着」と言っても、その間に、チャンスは無数にあると考えて良いわけです。

ところで、私は、普段、アクティベート時間分析(私流の時間分析)で相場の全体観を把握しつつ、「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」で、売買のポイントを絞り込んでいくトレードスタイルを取っています。「アクティベート時間分析」は、日足、週足、月足ベースで分析するため、中長期のトレンドを追うものです。相場変動の主たる要因が「時間」であり、従たる要因が「価格」であるという考え方がベースとなっていることから、基本的には天底を探る為には、まずは、「時間のリズム」を重視することが肝要だと思っています。その上で、従たる要因である「価格」の分析を行って、出来るだけピンポイントでエントリーし、手仕舞いするために、価格分析としての「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」が必要となってきます。

尚、「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」は、いずれも、「遅行スパン」という「宝刀」を備えていますが、実は、この「遅行スパン」は時間分析の一環を担っています。つまりは、「スパンモデル」の遅行スパンは26単位の、「スーパーボリンジャー」の遅行スパンは21単位の時間分析を行っているに等しいと考えられるわけです。「26」と「21」はとりわけ重要な時間単位ですが、他にも、重要数値として、「9」「17」「33」「42」「52」などの「基本数値」が存在しています。

このように、相場の本質である横軸ともいうべき「時間」、そして縦軸ともいうべき「価格」の両面を対象として、目の前の相場、すなわち、「相場の現在性」と向き合うのが、「アクティベート時間分析」「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」の統合的な分析であり、トレード手法であるとご理解頂けると幸いです。


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たまにのぞいて頂くと幸いです。ここぞと言う時につぶやくようにしたいとは思っていますが・・。


プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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