相場は分からなくてもOK!?
あの一目均衡表の創始者である一目山人翁は、「相場というものは分からないものだという人は恐らく相場の真髄の分かった人でありましょう。」「もし、それを裏返せば、いつも相場は分かるという人は、あるいは、その時々の相場はわかるとしましても、相場そのものを分かっていない人ではないでしょうか。」(一目均衡表、完結編、P39)と仰っています。
相場を究め尽くした一目山人翁が仰る言葉だけに、意味は大変深いものと言えます。確かに、相場がいつも分かると言っている人がいるとすれば、それは相当に怪しい、疑われて当然と思っておいた方が無難かもしれません。
翁は、さらにこんな風に仰っています。「素人は儲けたことばかりを語り、玄人は損ばかりを語る。ことに玄人は儲けそこなったものまでも損したとして語る。そこが素人と玄人の根本的な違いである。」と。
ここで玄人や素人という区別は、プロの雇われトレーダーか個人投資家の違いという意味ではなく、投資経験がどの程度あって、収益をどの程度上げているかに依るものだと考えて良いと思います。事実、プロの雇われトレーダーにも多くの「素人」が存在し、個人投資家にも多くの「玄人」が存在しているからです。
確かに、相場で「常勝」というのは本来はなかなかあり得ない話であって、「常勝」を全面に出して誇大広告しているものは、「怪しい」と見なして良いと思います。「お金儲け」というのは、ほぼ万人に受ける、魅力的な言葉であるだけに、決して、だまされないように気を付けておく必要があります。
そもそも、「相場が分からない」ということは、すなわち、本当に相場が分かっているから言えることではないかと思います。分からないという点が何であるのかが分かることに意味があり、だからこそ、相場が分かるということです。実際の相場では、分からない時には、手を出すべきではないとも言えます。分からなかった相場に一筋の光が見えた時、相場に立ち向かっていけば良いということです。
より具体的に言うと、相場が往ったり来たり、保ち合い相場、膠着相場にある時は、分からないのが当然のことです。しかし、ある時、相場が放れるタイミングがあり、そのタイミング以降に、相場にトレンド性が生まれるとすれば、初めて、その相場の流れに乗っていけば良いということです。これが、つまり、相場は分からない時があって当然であり、逆に、その方が良いのだということの意味だと思います。
ところで、私は、自分の相場判断、トレード手法である「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」を用いることで、トレンド性に欠ける時とトレンド性の高まる時の区別、判断をすることに特に焦点を置いています。トレンドが発生するタイミングをどのように判断するかがトレード成功の秘訣だからです。
また、トレンド性のある相場からトレンド性に欠ける相場に変化するタイミングについても判断基準を設けています。そのことで、利が乗っている状況から変化するタイミングを把握することで、「めりはり」のついたトレードをするように心がけている次第です。
分かりやすい相場とそうでない相場の区別をすることは、イコール、トレンド性の強い相場とそうでない相場の区別と言い換えることも出来るわけで、この区別をどのようにして判断するかは最大の関心事となる、というわけです。
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