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マーフィーの日々是好日

「投信買い」など需給情報について

1昨日、読者の方からコメントを頂戴しました。

「投信買い」についてでした。

よく新聞やネット情報などで、月末に外貨建て投信買いが入る予定という解説やコメントを見たり聞いたりされることが多いと思います。

コメントを投稿した頂いた読者の方は、銀行や証券会社のディーラーはこのような情報をいち早く手にしており、優位な立場にあるかどうかといった趣旨のご質問をして頂きました。

実は、私は、相場分析を行うに当たって、かつては、需給分析に最も重きを置いていました。需給分析ですから、ファンダメンタルズ分析の1つでもあります。財務省(当時は大蔵省)が発表する国際収支統計から始まって、証券投資等々あらゆる数値を入手し、相場分析に役立てようと努力しました。

新聞記者や通信社の記者が私に相場コメントを求めると、私がいつも決まって「ドル円相場の需給が〜〜」と始めるものですから、記事にするのが大変容易であったと、記者からよく聞きました。彼らも如何に格好良く記事を書くかが仕事ですから、良く分かります。

しかしながら、ディーラーである私にとって、現実はどうであったと言うと、需給分析を幾ら詳しく行ったからと言って、直接、大量注文の処理を自ら請け負っていない限りは、トレードにはほとんど役立たなかったのです。

例えば、このようなことがありました。月末のドル決済が約3000本(30億ドル)あると事前に分かったのです。これは実際の数値であり、当時の大手銀行のチーフディーラー達が情報を互いに集約して得たものでした。

かなり大きな金額でしたので、ディーラー達は当然のことながら注目しました。私はニューヨーク駐在でしたが、本店のチーフディーラーからこの情報を得て、これは面白いと思ったのです。きっとトレードに役立つと考えたのです。私は、事前にドルをしっかりとロングしておいて、上がったところを売って儲けようと思ったのです。ディーラーなら当然の行動であると思います。

そして、当日のことです。東京公示仲値決済に向けてドルが上伸し始めました。そして、まさしく、大量にドル買い注文が執行される瞬間のことでした。確かにある程度上昇したことは事実ですが、決済時間を過ぎるや否やドルが急落したのです。私は目を疑いました。
ドル急伸どころか、あまりの急速な下落に驚かされたのです。

それもそのはず、マーケットでは、確かに3000本の買いが発生したのですが、マーケットには既に相当のドルロングが出来あがっており、手仕舞売りの売り注文が殺到したのです。確かに、大量の買い注文を処理したディーラー自身は、自らのポジションとしてドルを買っておいて、ドル上昇したところで、自ら事前に造成したポジションを買い注文に充当して手仕舞を行うことが出来たかもしれません。

しかしながら、大量買い注文の情報を得たことで、それを利用して、自らポジションを造って収益を上げようと思って待ち構えていたディーラーはゴマンといたわけです。ですから、利食いをするどころか、彼らの多くはドルロングポジションに捕まってしまったのです。

早い話が3000本の買い注文に対して、マーケットのポジションは8000本や10000本に膨れ上がっていたのです。かなり内輪で得たと思っていた情報ですからこの有様です。まして、新聞やネットに流れている、誰もが手に出来る情報を元にポジションを取ると、どれだけリスクがあるか、想像に難くないと思います。

考えてみれば、当り前の話であり、世の中、自分だけが知っている情報などほとんどありません。自分の銀行の大口顧客が大量注文を自分の銀行にだけ出してくる場合などであって、このような美味しい情報が世の中に伝わった時点で、既にマーケットのポジションはその大量注文の金額以上に出来上がっていることになるわけです。

ということで、需給は確かに重要な市場変動要因なのですが、実際に、その情報を仕入れて、自分のトレードに役立てるに当たっては、思惑と現実があまりにもかけ離れていることに気をつけなければならないのです。

上記の具体例はほんの一例であり、毎日のように、この類の情報は乱れ富んでいます。その情報に一喜一憂して自分のポジション操作をしていると、マーケットの基本的な流れや方向性を見失ってしまう危険性があるのです。

実は、外国為替市場というのは実に懐が深いのです。マーケットの厚みは他の金融商品に比べて比較にならないくらいあります。従って、私は「相場のことは相場の動きに聞く」方法に徹しています。その結果、生まれたのが、私の分析手法であるスパンモデルであり、スーパーボリンジャーです。世の中に氾濫した情報に振り回されることなく、相場そのものと手を組み共に歩むスタイルを取り始めて、やっと相場が見えてきたのです。

世の中で見聞きする情報はあくまで「情報」として横に置いておき、目の前の相場の「現在位置」を正しく知り、仲良くなることが、成功トレードを行う上で何よりも大事だということです。


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プロフィール

柾木利彦(マーフィー)

Toshihiko Masaki

インテリジェンス・テクノロジーズ代表

1980年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)を卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。
ニューヨーク支店、東京本部の ドル円チーフディーラーを経て、1992年米銀大手の『シティバンク』や欧州系大手の『オランダ銀行』東京支店などで外国為替部長として外銀最大級のトレーディングチームを率いて活躍、現在に到る。その間、「東京市場委員会」での副議長や「東京フォレックスクラブ」委員などを歴任。卓越した市場関連知識でもって、テレビ、ラジオ、新聞などで数多くの情報発信を行い、東京外国為替市場の発展に貢献。自身、過去24年に及ぶトレード経験に基づき、独自のチャート分析 (「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」等)を確立。
個人投資家に向けて最強の投資法を伝授することをライフワークとして、現在も精力的に取り組んでいる。

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