SBIリクイディティ・マーケットは、FX取引(外国為替証拠金取引)の売買を集計するシステムに、米マイクロソフトのデータベースソフト「SQL Server 2014」のインメモリーOLTP機能を導入した。これにより、これまで高負荷時には数秒かかっていた集計処理を、0.1秒前後に縮めたという。同社のディーラーは、リアルタイムに表示される集計結果を基に最適な為替取引を選択できる。さらにインメモリー化とアーキテクチャーの改良により、トランザクション処理性能を約30倍に高めた。

 SBIリクイディティ・マーケットは、SBIグループのFX取引事業者(SBI証券、住信SBIネット銀行、SBI FXトレード)にFX取引システムを提供している。2008年の設立以来、.NET FrameworkとSQL Serverでシステムを構築、運用している。同社システムによる売買高は年間約450兆円である。

 今回、インメモリーOLTP機能を導入したのは、システムを提供しているFX事業者の約定状況を集計し、集計結果を一覧できるようにする「カバー管理システム」である。SBIリクイディティ・マーケットのディーラーはその集計結果を基に、FX事業者に代わりカバー先の金融機関と為替取引を実施する。従来のシステムでは、最新の約定状況が表示に反映されるまで、高負荷時には数秒かかることがあった。

 今回、SQL Server 2014のインメモリーOLTP機能を導入することで、ほぼリアルタイムな表示を可能にした。0.1秒は基幹取引システムからデータを引き出すのに要する時間で、実際の集計作業はミリ秒単位で実現しているという。トランザクション性能については、アーキテクチャーの改良により8.4倍、それをインメモリー化することで3.5倍、最大で約30倍に高めた。

 同社は2012年10月からSQL Server 2014の早期検証プロジェクト(TAP)に参加。専任の技術者2人が、2012年10月から2013年3月まで基本機能検証、2013年4月から2014年3月までワークロード検証を実施したという。

 既に集計機能の実装は完了しており、2013年12月に試験的に稼働させた。今後、ディーラーに集計結果を示すユーザーインタフェース部などの要件を固めた上で、2014年6月末にシステムを本格稼働させる予定だ。他のシステムへのインメモリーOLTP導入の計画も進んでいるという。