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【米国市況】円急伸し一時141円台、日銀早期政策シフト観測-株反発

  • 円は対ドル一時141円71銭、4カ月ぶり高値-日銀総裁発言などで
  • S&P500種4日ぶり上昇、AIトレード復活で大手ハイテク高い

7日の外国為替市場で円が急伸。日本銀行が昨年にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策を修正して以来の大幅高となった。日銀が金融政策を早期にシフトするとの観測が広がり、円買いが膨らんだ。

  円は対ドルで一時3.8%高の1ドル=141円71銭と、昨年12月20日以来の大幅上昇。8月7日以来の高値となり、200日移動平均の142円29銭を突破した。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1239.54-4.57-0.37%
ドル/円¥144.08-¥3.23-2.19%
ユーロ/ドル$1.0794$0.00300.28%
  米東部時間16時41分

  日銀の植田和男総裁が7日の参院財政金融委員会で、金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことが材料視された。

日銀12月会合ライブ、正副総裁発言でマイナス金利解除観測が再燃 (1)

  一方、ドルは下落。先週の米新規失業保険申請件数が市場予想と一致した後、米2年債利回りが低下したことが背景。

米失業保険、継続受給者数が大幅減-なお2年ぶり高水準付近 (1)

  MUFGの外為ストラテジスト、リー・ハードマン氏は世界的な利下げ観測が強まる中、日本銀行が今月中にも超金融緩和政策を終了するとの見方は円を大きく押し上げる可能性があると指摘。

  「日銀が行動する場合でも1回の小幅な利上げとなるだろうが、米金融当局や他の中銀がより積極的に利下げすれば、それだけでも来年の円反発を後押しするには十分強力だ」と話した。

世界的な利下げ観測と日銀緩和解除の思惑、円さらに上昇も-MUFG

  エバコアISIのクリシュナ・グハ氏は、日本銀行が12月にサプライズの利上げを真剣に検討するとの「見方には賛成しない」と指摘。

  「1月の方が可能性としては高いと考える」とし、「日銀は1月に行動するという重大な選択肢を主張しつつ、実際には4月の利上げに傾いている。従って、方向性は正しいが、この日の戦術的トレードはオーバーシュートした可能性が高い」と述べた。

Yen Surges Most This Year
 
 

米国株

  米国株は反発。人工知能(AI)ブームが相場上昇への追い風になり続けるとの観測を背景に、大型テクノロジー株が買われた。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数4585.5936.250.80%
ダウ工業株30種平均36117.3862.950.17%
ナスダック総合指数14339.99193.281.37%

  S&P500種株価指数は4営業日ぶりに上昇。大型ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は1.5%高。8日に発表される米雇用統計の見通しを巡る不安を払拭し、AIトレードが復活する格好となった。

  アルファベットは5%超の上昇。傘下のグーグルが前日、新たなAIモデル「Gemini(ジェミニ)」を発表した。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も高い。同社はAI向けのアクセラレーター新製品を発表、ライバル製品を上回る処理速度を実現するとしている。

アルファベットの株価急伸、「ジェミニ」発表でAI競争巡る懸念後退

  BMOウェルス・マネジメントのユンユ・マ氏は「AIは生産性が2024年以降に飛躍的に高まる原動力となる可能性がある」と指摘。「23年は強靱(きょうじん)性、適応力、革新が経済の特徴となってきた。これらの要素は来年もけん引役となる見通しだ」と話した。

AI Obsession | Nasdaq 100 soars over 45% this year
 
 

  ライアン・ハモンド、デービッド・コスティン両氏を含むゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、米国株は経済成長に関する楽観的な見通しを既に織り込んでおり、いかなるマクロショックにも「脆弱(ぜいじゃく)」な状況となっていると指摘。「楽観的なシナリオの大半は既に米国株の価格に反映されていると考える」とリポートに記した。

米国債

  米国債は高安まちまち。10年債利回りが上昇した一方、2年債利回りは小幅低下した。市場は8日の雇用統計に目を向けている。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.25%3.80.91%
米10年債利回り4.14%4.00.97%
米2年債利回り4.59%-0.3-0.05%
  米東部時間16時41分

  米失業保険申請件数がおおむね市場予想と一致したことで、市場の利下げ観測も変わっていない。利下げ幅に関する議論が引き続き焦点となっており、それは最終的に雇用とインフレの減速度合いに左右される見通しだ。

  オアンダのシニア市場アナリスト、クレイグ・アーラム氏は「この日の失業保険統計は、それ自体が特に目を引いたわけではない」と指摘。「8日発表の雇用統計が実に重要だ。特に賃金の項目だ」と述べた。

原油

  ニューヨーク原油先物は小幅ながら6営業日続落。早い時間帯には買いが優勢となり、一時はバレル当たり70ドル台に戻す場面もあったが、勢いは続かなかった。供給過剰懸念が根強い中、相場の主導権はアルゴリズム取引が握っているとみられる。

  CIBCプライベート・ウェルスのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は「テクニカルな反発は裏付けが弱く、ショートカバーによる大幅な上昇につながる好材料が出るまで、持続力に欠ける可能性がある」と述べた。

Oil Crosses Into Oversold Territory | WTI briefly rallies after settling in oversold territory
 
 

  原油先物の主要スプレッドは、期近物が期先物より価格が低いコンタンゴ(順ざや)になっている。石油輸出国機構(OPEC)以外からの原油輸出の増加が見込まれているため、OPECと非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の追加減産決定による影響は限定的となっている。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比4セント(0.1%)安の1バレル=69.34ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は0.3%下げて74.05ドル。

  ニューヨーク金スポット価格は伸び悩む展開。今後の米金融政策の手掛かりを模索する市場参加者は、8日発表の11月米雇用統計を待っている。

  金スポット価格は今週に入って最高値を更新した後、米利下げ観測は行き過ぎとの見方で急速に下げ、足元では1オンス=2030ドル付近で推移。7日発表の経済指標では労働市場が冷え込みつつあることがあらためて示され、トレーダーは雇用統計前の積極的なポジション構築を敬遠している。

Gold Climbs After Wild Swings | Metal is consolidating after touching a record
 
 

 

  モルガン・スタンレーのアナリストはリポートで「金価格は適正水準にあるとみている」とした上で、「利回りへの感応度は弱まり、地政学リスクは織り込み済みのようだ」と述べた。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は1.5ドル(0.1%)安の2046.40ドルで取引を終えた。

原題:Wall Street’s AI Craze Drives Nasdaq 100 Up 1.5%: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Mixed, Steeper as Front-End Outperforms Ahead of Jobs(抜粋)

Bond Traders Racing Ahead of Fed Face Reality Check on Jobs Data(抜粋)

Yen Surges Most Since Last Year’s BOJ Policy Shift: Inside G-10(抜粋)

Oil Extends Losing Streak as Failed Rally Hardens Bearish Mood(抜粋)

Spot Gold Pares Gains as Traders Await Key US Jobs Figures(抜粋)

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