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為替の激しい下落時、国は「利上げか為替介入で対抗」-神田財務官

更新日時
  • G7などの合意に沿って、必要な時に適切な対応をしっかり取る
  • 投機的な動きは絶えずあり、「それだけで判断するわけではない」

神田真人財務官は16日夕、為替相場が激しく下落した場合には、国は「金利を上げることによって資本流出を止めるか、為替介入で過度の変動に対抗する」と述べた。財務省内で記者団に語った。

  神田財務官は、足元の例として政策金利を引き上げたロシアや、為替介入を実施したイスラエルを挙げた。その上で、「非常に複雑な状況の中で総合的にファンダメンタルズを判断する」と説明した。金利は為替相場の「ファンダメンタルズの一翼」として見ながら、主要7カ国(G7)などの合意に沿って、必要な時に適切な対応をしっかり取ることに尽きると語った。    

  国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長は14日、円安は主に金利差が要因であり、経済のファンダメンタルズを反映していると指摘。介入の必要性を裏付けるような主要基準である市場の機能不全や、金融安定へのリスク、制御不能になったインフレ期待をIMFは認識していないと述べた。

  神田財務官は、IMFの一職員の発言に「財務省の財務官は反論もしないし、コメントもしない」と述べ、この日の自身のコメントはあくまで「一般論」としている。

  野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは17日付リポートで、あくまでも一般論としているが、資本流出・通貨安を止める手段として日本銀行所管の利上げに言及した点が注目されると指摘。日銀はイールドカーブコントロール(長短金利操作)運用柔軟化の一因として円安加速への警戒に言及したが、「円安に歯止めがかからない中、政府からの日銀へのプレッシャーが高まる可能性がある」とみている。

  鈴木俊一財務相は17日の閣議後会見で、IMFの一職員の発言であり、多くの人がいろいろと発言をするが、「そうした発言に全てコメントする必要はない」との認識を示した。神田財務官の発言については、「詳細をまだ踏まえていない。ここで明確に答えるわけにはいかない」と述べるにとどめた。

ドル・円の推移
 
 

  17日の東京外国為替市場で、ドル・円相場は1ドル=149円台半ばで推移。海外市場では、中東の緊張緩和に向けた取り組み期待から投資家心理が改善、株高・米金利上昇でドルが買われる場面があった。日米の金利差からドルが買われやすい状況が続く一方、150円付近では日本の当局による円買い介入への警戒感も根強く、方向感を欠いている。

   神田財務官は、昨年の為替介入について、「ファンダメンタルズから外れて、過度な変動が見られた。それが国民、特に企業と家計の経済行動に多大なる問題をもたらしていることは看過できないので介入した」と説明。投機的な動きは絶えずあり、「それだけで判断するわけではない」と述べた。

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(6段落目に鈴木財務相の会見での発言を追加して更新しました)
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