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米実質利回り、14年ぶり高水準に迫る-新たなドル買いに拍車

更新日時
  • 円は対ドルで日本当局が昨年介入を余儀なくされた水準に近づいた
  • トレーダーはドルに対する記録的なショートを減らし続けている

米国の金利がかなりの将来にわたってインフレ率より高い水準で推移することにトレーダーは賭けており、主要通貨に対するドルの上昇に拍車を掛けている。

  10年物の米実質利回り(インフレ調整後の利回り)は14日に1.78%まで上昇し、2009年以来の高水準に近づいた。プラスリターンの魅力が、ドルに資金を回帰させている。ドルは先月に付けた約1年ぶり安値から約3%上昇している。

  アジア時間14日の取引でもドルは堅調。人民元は対ドルで今年の最安値に向かい、円は日本当局が昨年介入を余儀なくされた水準に接近した。

  ヘッジファンドはドルの記録的なショートポジションの縮小を続けている。オプション市場のポジショニングとセンチメントの指標によれば、投資家は3月下旬以降で最もドルに強気だ。

Higher US Real Yields Spur Dollar Buying | Rates on Treasury inflation-protected securities are close to a 14-year high
 
 

  こうした動きは米連邦準備制度が引き締めサイクルの終わりに近づいても、底堅い経済成長の見通しによってドルが恩恵を受ける可能性を示している。このため、ドルの反発は一巡したとの最近の声には疑問符がつき始めている。

  カマクシャ・トリベディ氏らゴールドマン・サックスのストラテジストはリポートで、「市場が米経済のアウトパフォームまたは、相対的に高い米利回りに注目している時に、ドルが大きく下落するのは難しい」と指摘した。

  インフレ率を目標以下に戻すには、やるべきことがさらにあると主張する政策当局者もいる。最近の天然ガスと原油価格の高騰はインフレリスクを浮き彫りにし、発行急増は米国債相場を圧迫している。

  かつての債券王ビル・グロース氏でさえ、米国債は「割高」だとし、10年物利回りの適正水準を4.5%と見積もった。14日の10年債利回りは年初来最高の4.20%に迫る勢いだ。

Short Dollar Positions Retreat From Record High | Asset Managers pullback on bearish dollar bets as global growth data diverges
 
 

  商品先物取引委員会(CFTC)が先週発表したデータによると、ドルショートは過去8週間で最低の水準まで後退した。

  みずほインターナショナルのグローバルマクロ戦略トレーディング責任者、ピーター・チャットウェル氏は、「米国の実質金利は世界的に見て非常に魅力的だ。群衆行動になり得る」とコメントした。

原題:US Real Yields Near 14-Year High Spur Fresh Dollar Buying(抜粋)

 

 

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