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パウエル議長、ピーク金利は従来想定から上昇-利上げペース鈍化も

更新日時
  • 政策金利「十分抑制的」な水準になるまで「継続的な引き上げ」必要
  • 利上げ停止について考えるのはあまりに時期尚早-パウエル議長
U.S. Federal Reserve Board Chairman Jerome Powell

U.S. Federal Reserve Board Chairman Jerome Powell

Photographer: Drew Angerer/Getty Images North America

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレのコントロールを取り戻す取り組みで新たな段階に入った。現在の利上げサイクルにおける政策金利のピーク水準について、従来の想定より高くなる可能性があるとした一方、近く利上げ幅が縮小することもあり得るとの認識を示した。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は1、2両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.75ポイント引き上げることを決めた。0.75ポイント利上げはこれで4会合連続。今回の利上げにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは3.75-4%となった。これは2008年以来の高水準。決定は全会一致だった。

FOMC声明:今後の引き締めペース、累積効果や経済情勢などを考慮

  パウエル議長は会合後の記者会見で、「前回会合以降に入手したデータは、金利の最終的な水準が従来の想定より高くなることを示唆している」と述べた。 

  「どこかの時点で」利上げペースを落とすことが適切になるだろうとも議長は指摘。「その時期は近づいており、早ければ次回、ないしその次の会合となる可能性はある。何も決定していない」と説明した。その上で、政策金利が十分引き締まった水準になるまでには「なお幾分か道のりが残されている」とも強調した。   

  さらに、利上げの「停止について考えるのはあまりに時期尚早だ」と述べた。

  FOMCは会合後に発表した声明で、「時間とともにインフレ率を2%に戻せるだけの十分抑制的な」水準に政策金利が達するよう、「継続的な引き上げ」がなお必要になる可能性が高いと記した。

パウエルFRB議長の会見(抜粋)
Source: Bloomberg

  FOMC声明の内容のほか、パウエル議長が会見で利上げの最終地点についてタカ派寄りの姿勢を示した一方、近い将来についてはハト派寄りで、利上げペース減速の可能性を示唆したことから、金融市場では相場が乱高下した。

Persistent, elevated inflation explains fourth-straight 75 basis-point move
上段:FF金利誘導目標レンジの上限推移 下段:PCE価格指数の前年比変化(白)、失業率(青)
出所:FRB、経済分析局、労働統計局

  保有する米国債と住宅ローン担保証券(MBS)については、削減を継続するとFOMCは説明。現在のペースで削減が進めば、1年間に約1兆1000億ドル(約161兆9000億円)相当減ることになる。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン、アンドルー・ハスビー、イライザ・ウィンガーの3氏はリポートで、「今後の利上げペースを巡ってFOMCメンバーの考えが一致しているか定かではない」としつつ、「声明での新たなガイダンスについては、利上げペースと同時期の経済データとのつながりを正式に切り離そうとする試みだとわれわれは解釈している。つまりそれは、最終的に利上げペースを鈍化させるための下準備をFOMCメンバーの大半が支持していることを示唆している」と記した。

原題:Powell Sees Higher Peak for Rates, Path to Slow Tempo of Hikes(抜粋)

(議長の発言やエコノミストのコメントを加え、更新します)
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