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円は147円半ば、米利上げ加速観測で-海外時間に32年ぶり安値更新

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東京外国為替市場の円相場は1ドル=147円台半ばへ小幅に下落した。政府・日本銀行による円買い介入への警戒感が下支えしたものの、インフレ抑制に向けた米利上げ加速観測が重しとなった。前日のニューヨーク市場では米消費者物価指数(CPI)を受けて一時147円67銭と1990年8月以来、32年ぶりの安値を付けた。

 
  • 円は午後3時28分現在、対ドルで前日比0.2%安の147円43銭。値幅は147円06銭から147円50銭
    • 13日は146円台後半でのもみ合いが続いた後、米CPI発表後に147円67銭まで円安が進行。その直後には146円50銭まで円が急反発する場面も
円は一時32年ぶりの対ドル安値を付ける
 
 

  りそなホールディングス市場企画部の梶田伸介チーフストラテジストは、「ドル・円の147円台は介入警戒感が高まりやすいため、おそるおそるドル高・円安が進む感じになるだろう」と指摘。「米CPIの上振れでタカ派的な金融政策が意識された」と述べた。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、「米雇用統計とCPIが強かったことから、ドル・円について少なくとも弱気にはみれなくなった。労働市場とインフレにピークアウト感が見られない中で、米金利が低下する可能性は低い」としたうえで「ドル・円は高止まる状態が続きそうだ」と述べた。

  9月の米CPIは、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が市場予想を上回り、40年ぶりの高水準となった。インフレ高進の定着を防ぐため、米金融当局に一段と積極的な利上げを迫る内容。スワップを基に算出した年内の米金融政策の見通しでは、11月と12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でそれぞれ0.75ポイントの利上げを織り込み始めた。9月会合のドットチャートでは11月に0.75ポイントの利上げが行われた後は、12月に0.5ポイントに利上げ幅が縮小することが示されている。

  円相場は13日の海外時間で32年ぶりの対ドル安値を更新した後、急速に円高方向に振れる場面があり、市場では介入があったのではないかとの見方も一部で出た。三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットの土井健太郎主任調査役は「介入の条件であるスピード感の定義がつかみづらいところだが、日米金利差の広がりに対して円安のペースは落ち着いていることから、今のところ介入をやる必要はないようにみえる」と話した。

  大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、日本の通貨当局の介入について「過度の変動が介入のキーワードになっているが、明確な基準が無く本当に読みづらい」と指摘。そのうえで「何が介入のカタリストか分からない。過度な変動と言いながら穏やかでも介入がある可能性もあり、市場はあまり急いで虎の尾を踏まないような感じでじり高というのが基本的なシナリオになりそう」と述べた。

  鈴木俊一財務相は13日(米東部時間)、足元の円安進行に関連し「投機による過度な変動は容認できない」とした上で「過度な変動には適切な対応を取りたい」と語った

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