ロシア大手銀行を国際決済網から排除 米欧、中銀も制裁

【ベルリン=石川潤、ワシントン=坂口幸裕】米欧カナダの6カ国と欧州連合(EU)は26日、ロシアに追加制裁する方針を表明した。ロシアの中央銀行に初めて制裁を科し、ロシアの外貨準備を使えなくして通貨ルーブルの防衛を困難にする狙いだ。大手銀行などを国際決済網から排除することも決めた。数日中に実施する。岸田文雄首相は27日、米欧の制裁への参加を表明した。
国際決済網からの排除は、ロシアからのエネルギー供給の途絶を誘発しかねないとしてEUの一部に慎重論があった。ウクライナ侵攻は一段と深刻になり、米欧や世界経済にマイナスの影響があったとしても制裁を強化する必要があると判断した。ロシアの外貨取引を封じて貿易を制限し、経済面から最大級の圧力をかける。
制裁の詳細は明らかになっていないが、米連邦準備理事会(FRB)に持つドル資産を事実上凍結する案が有力視されている。ルーブル安を止めるための為替介入をできなくする。米政府高官は26日、「ルーブルが暴落すると理解している。インフレ率は急上昇し、中央銀行は無防備な状態に陥る」と強調した。
ロシアの持つ外貨準備は6300億ドル(約73兆円)で、うちドルやユーロなど外貨が5000億ドル分あり、資産凍結などの制裁対象になる。日銀にも円建ての外貨準備を数兆円規模で抱えている。金は1300億ドル分あり、ロシア国内で保管しているとみられる。
中銀への制裁はロシアの意表をつく形で米欧が打ち出した。市場にとってもサプライズで、ルーブルが急落する可能性がある。

もう一つの制裁は国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)からの締め出しだ。SWIFTは世界の1万超の金融機関が参加する国際決済インフラだ。排除されると国際送金が事実上できなくなる。対象はズベルバンクなど大手が中心となるとみられる。ロシアの全銀行を対象にした排除は欧州経済への影響を考慮して見送った。
米国は既にロシア大手銀のドル決済を封じる金融制裁を発動している。新たにSWIFTから排除することで、ユーロや円などあらゆる通貨の国際取引もできなくなる。
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