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バフェット氏、後継者にアベル氏を再確認-破綻銀行の経営陣を批判

  • バークシャー、ネブラスカ州オマハで株主総会開催、数千人が参加
  • 政府がSVBの預金全額保護に動かなければ壊滅的事態に陥っていた

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は6日、自身が率いる投資保険会社バークシャー・ハサウェイの年次株主総会で特に1つの事柄について質問を繰り返し受けた。後継者についてだ。

Inside The Berkshire Hathaway Annual General Meeting
グレッグ・アベル氏
Photographer: David Williams/ Bloomberg

  バフェット氏は2021年にグレッグ・アベル氏を後継者に指名。非保険事業担当副会長を務めるアベル氏はそれ以来、存在感を増している。バフェット氏は同日、この後継者決定に「100%満足している」ことを再確認し、引き継ぎがいつになろうとも、ほぼ通常通りに移行するとの見方を示唆した。

  米ネブラスカ州オマハで開いた株主総会でバフェット氏は、「グレッグ(・アベル氏)は私同様、資本配分をよく理解している。それはわれわれにとって幸運だ。彼は私とほぼ同じ枠組みで決断を下すと思う」と語った。

  バフェット氏と長年のビジネスパートナーであるチャーリー・マンガー氏と共にこの日午前に登壇したアベル氏(60)は、バークシャーのエネルギー事業を米国最大級に育て上げた人物。バフェット氏は最近、アベル氏が「全ての仕事 」をしていると冗談まじりで述べている。

  バフェット氏の信奉者数千人が参加した今年の年次総会の他の主要ポイントを以下にまとめた。

オキシデンタル・ペトロリアム

  あるアナリストがこの日最大の発表と呼んだのは、バークシャーが石油・天然ガス会社オキシデンタル・ペトロリアムを完全に支配する提案を行わない立場を示したことだ。

  米規制当局から昨年、オキシデンタルの株式最大50%の取得について承認を得た後、バークシャーがオキシデンタルの所有を目指すとの臆測が高まっていたが、バフェット氏のこの日の発言でこうした見方は後退しそうだ。

銀行混乱

  バフェット氏は破綻した銀行の経営陣を非難し、過ちについて責任を負うべきであると主張。銀行規制における「混乱した」インセンティブや、規制当局と政治家、報道機関によるこの騒動に関する米国民へのメッセージの不十分さも指摘した。

  さらに、JPモルガン・チェースが救済買収したファースト・リパブリック・バンクに言及。ファースト・リパブリックが、政府保証のないジャンボ住宅ローンを固定金利で提供し、一部のケースでは10年間金利支払いのみだったことについて、バフェット氏は「常軌を逸している」と述べ、「この金融機関はよく見える状態でそれを行っていたのに、世界はそれが暴発するまで無視していた」と語った。

  バフェット氏は一方で、米政府がシリコンバレー銀行(SVB)の預金を全額保護に動いていなければ壊滅的な事態に陥っていただろうとも述べた。

連邦債務上限

  米国の連邦債務上限を巡る対立で議員らが解決を急ぐ中、バフェット氏は、金融システムを混乱に陥れるような米国のデフォルト(債務不履行)がワシントンが許すとは思えないと発言。米国は「信じられないほど素晴らしい社会」だという信念を繰り返し示し、選択できるのであれば、やはり米国で生まれたいと考えていると語った。

利益減少へ

  バークシャーの1-3月(第1四半期)営業利益は、約13%増の80億7000万ドル(約1兆900億円)で、自動車保険のガイコを含む保険引き受け事業がけん引した。

  ただ、この決算発表で示された業績見通しは比較的暗かった。インフレと金利上昇の中、米経済にとって「信じられないほど素晴らしい時期」が終わりに近づくことから、バークシャーの広範囲な事業群の大半で利益が今年減少するとの見方を示した。

  それでもバフェット氏は、企業活動との相関性が低い保険引き受け事業の収益は今年改善すると予想した。

原題:Buffett Reaffirms Abel as Heir, Blames Bank Leaders for Failures(抜粋)

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