FOMC声明は15、16歳の高校生レベルで理解可能-仏中銀の研究
William Horobin-
2014年には18年間の教育受けた人にしか理解できなかった
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中銀の表現、より平易に-ECBと英中銀の決定要約は13歳でも理解
主要中央銀行はインフレ抑え込みに苦戦しているかもしれないが、平易な言葉で政策を伝えるという目標には前進しているもようだ。
フランス銀行(中銀)の研究によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を理解するのに必要な教育の年数は2020年8月の調査時に比べ5年短くなっている。現在では15、16歳の高校生程度の教育レベルで読み解くことができるという。
これに対し欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)の声明はより分かりにくかった。ただ、最近導入された決定の要約版は13、14歳でも理解できるものだったという。
英中銀は17年、ECBは21年から政策の発表に要約版や挿絵付きのバージョンを加えている。こうしたバージョンは8年足らずの教育を受けていれば理解可能で、主要な声明は15年程度の教育を要することが分かった。
中銀が分かりやすい表現を心がけるようになってからまだ日は浅い。数十年にわたり専門用語を並べた不明瞭なコミュニケーションが横行し、グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「私の言っていることがあまりにも明瞭であるように思われたなら、それは誤解に違いない」と言ったほどだ。
元英中銀チーフエコノミスト、アンディー・ホールデン氏は17年に、国民の95%は中銀の発表文を理解不能なものと考えている可能性が高いとコメントした。
ECBは昨年の論文で、専門用語の多用はインフレ目標達成を困難にし得ると警鐘を鳴らし、幅広い層への効果的なコミュニケーションはインフレ期待と経済行動により大きな影響を与えることができると分析した。
フランス銀行のエコノミストらは最近公表した論文で「目指すところは金融政策をより平易な言葉で説明し、国民が政策の決定理由と自分たちの生活への影響を理解できるようにすることだ」と記した。
この研究によれば、最も分かりにくかった14年のFOMC声明は理解するのに18年間の教育が必要だった。
明瞭なコミュニケーションは人間以外にも有用なようだ。今月発表された別の研究は、人工知能(AI)ツールである「ChatGPT(チャットGPT)」もFOMC声明がタカ派的であるかハト派的であるかを解釈できることを示した。
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ただ、フランス銀行のエコノミストらによれば、金融混乱などのイベントは中銀声明を分かりやすいものにするのを妨げる。「危機時や新たな金融政策ツール導入時には発表文の複雑さも長さも増す」という。
原題:Deciphering the Fed Is a Test Even High School Kids Can Pass Now(抜粋)