パウエル議長、高金利維持する可能性高いと示唆-転換期待裏切る
Matthew Boesler、Craig Torres-
9月FOMC会合での利上げ幅はデータ次第-パウエル議長
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景気抑制的な政策が「一定期間」必要になる可能性高い-議長
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレを根絶するために利上げを継続し、金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いことを示唆した。当局が近く方針を転換するとの見方をけん制した。
パウエル議長は26日、カンザスシティー連銀が主催するワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)で講演。事前に配布された原稿によれば、「物価の安定を回復するには、景気抑制的な政策スタンスを一定期間維持することが必要となる可能性が高い」とし、「過去の記録は早急過ぎる政策緩和を強く戒めている」と付け加えた。
パウエル議長は、インフレ率を目標の2%に下げる取り組みは消費者と企業に経済的な痛みをもたらすものの、当局にとって「現時点で最も重要な焦点」だと言明。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で「異例に大幅な」利上げをもう一度実施することが適切となる可能性もあると改めて述べた。ただ確実に実施するとまでは明言しなかった。
議長は「9月会合での決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」と語った。
MBBキャピタル・パートナーズのマーク・スピンデル最高投資責任者(CIO)は、講演のトーンからはパウエル議長の強い決意が感じられるとし、9月にもう一度大幅利上げが実施されることが示唆されると分析した。
パウエル氏が講演でアラン・グリーンスパン氏、ポール・ボルカー氏、ベン・バーナンキ氏という歴代議長をあえて例に挙げて説明したことについて触れ、スピンデル氏は「75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の追加利上げで講演内容の裏付けを行わなければ、パウエル氏は自身の言葉の価値をおとしめることになる」と述べた。
講演でパウエル氏は、「物価安定の回復にはしばらく時間がかかるほか、需給バランスを改善させるため政策手段を強力に活用することが必要となる」と説明。物価の安定を回復させるには、潜在成長率を下回る経済成長と労働市場の軟化が「ある程度持続する」必要があると述べた。「金利上昇と成長減速、労働市場環境の軟化はインフレを鈍化させるが、家計と企業に痛みをもたらすことにもなる」と認めた。
インフレ率については、「7月のインフレ指標が低下したことは歓迎すべきこと」だとしつつ、FOMCとしてはインフレが鈍化していることを確信する必要があり、単月の改善では十分と言える状況から程遠いと述べた。
パウエル議長は労働市場が「明らかにバランスを欠いている」とし、労働者に対する需要が供給を「大幅に」上回っていると指摘した。
原題:Powell Talks Tough, Says Rates Likely to Stay High for Some Time(抜粋)