英ポンド、EU離脱決定後の高値 対円で5年4カ月ぶり水準
【ロンドン=篠崎健太】15日のロンドン外国為替市場で英通貨ポンドが大幅に続伸した。対円では一時1ポンド=157円41銭程度と2016年6月24日以来、約5年4カ月ぶりの水準に上げ、英国の欧州連合(EU)からの離脱決定による急落後の高値をつけた。物価上昇に伴う早期の利上げ予想が増えているためで、金融緩和からの脱却が見通せない日本の円に対する上げ方が大きくなっている。
ポンドの対円相場は、前日の155円台前半から一時2円あまり水準を切り上げ、18年2月につけていたEU離脱決定後の高値を上回った。週間の上昇幅は4円強に達した。対ユーロでも1ユーロ=0.84ポンド台前半と、20年2月以来のポンド高水準になった。
背景には利上げ観測の強まりがある。英イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁は9日付の英紙ヨークシャー・ポストとのインタビューで、インフレについて「恒久的な浸透は防がなければならない。そうなれば非常に有害だからだ」と述べ、物価高の定着に警戒感をあらわにした。10月に入って他の金融政策委員からもインフレ懸念の発言が出て、引き締めへの転換が近いとの見方が金融市場で強まった。
イングランド銀は11月4日に最新の金融政策を発表する。金融情報会社リフィニティブによると、金利先物市場が織り込む11月の利上げ確率は約3割、12月も含めると7割に達している。米ゴールドマン・サックスは14日付の投資家向けリポートで、最近の政策委員の情報発信を踏まえ「11月か12月の利上げが現実味を帯びてきた」と指摘した。
英国は16年6月23日にEU離脱の是非を問う国民投票を実施し、離脱52%・残留48%の僅差で離脱が決まった。離脱が多数との結果が伝わった翌24日、ポンドの対円相場は同日の高値である1ポンド=160円台から133円台まで、一日で最大27円も急落していた。