ドル・円は2年10カ月ぶり高値、米金利先高感-一時112円75銭
酒井大輔
更新日時
東京外国為替市場のドル・円相場は上昇。先週末に米10年金利が1.6%台に乗せたことや米国債入札などの米金利イベントやインフレ懸念を背景にした米金利先高観を受けて2018年12月以来の水準まで上昇した。原油先物価格の上昇や日本株高もドル・円の上昇に寄与した。
ハイライト |
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市場関係者の見方
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長
- 先週末の米金利上昇の流れがある中で、原油先物価格の上昇や日本株高がドル・円の112円40銭突破の背中を押した
- 特にきょうのドル・円の上がり方は一方向で、原油高・ドル高という中で円売りニーズが強まった可能性。10~11月はドルが上がりやすい季節性があることも後押ししていそう
- モメンタムはしっかりで、このモメンタムの中、自然体でどこまで上がれるか、ということが焦点に。113円にワンタッチするくらいはあるのでは
- 下値は112円40銭を超えてきたことで、余地はだいぶ限定的に。個人投資家のポジションはショートに傾いており、下がったところでは買い戻しが出やすいことも下支え要因に
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクター
- 市場はインフレを重要視しており、原油先物価格が80ドルに乗せ、高止まりするとみられる中、米連邦準備制度理事会(FRB)はテーパリングしやすい
- ドル・円は下落しづらく、米名目金利に追随して上値を試しやすい。米10年金利が今年の最高値を更新する中で、ドル・円は113円台というのは十分にある
- マーケットも「押し目待ちに押し目無し」の状態でドルを買えていない印象。心理としては、111円台で拾いたいという感じだろう
りそなホールディングス市場企画部の梶田伸介チーフストラテジスト
- 米長期金利上昇がドル・円の上げをけん引する中、今週は米国債入札や米物価指標など米金利イベントが多い
- ドル・円は米金利イベントを控えて底堅く、米長期金利の1.7%を意識した上昇があればさらに上昇も。週内には113円台で上値を探る動きになる可能性も
- 米金利イベントを一通りこなすと、金利上昇に一服感が出る可能性。金利と原油先物価格の上昇で米株がリスク回避的になった場合、リスク回避のドル買い・円買いで頭打ち感でるか
背景
- 米10年国債利回りは8日に一時1.615%と、6月4日以来の水準まで上昇。きょうは米コロンブスデーのため、米国債市場は休場。米10年国債先物は時間外取引で売りが優勢
- ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、時間外取引で一時1バレル=81.04ドルと14年10月以来の高値を更新
- 日経平均株価は前週末比449円高で取引を終えた
- 今週の米国債入札
- 12日:3年国債、10年国債
- 13日:30年国債
- 今週の主な米国経済指標など
- 13日:9月の消費者物価指数、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21~22日開催分)
- 14日:9月の生産者物価指数
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