■「外為四方山話」
20年間のディーリング経験を元に、為替に関する様々な四方山話をご紹介していきます。肩の力を抜いてお読み下さい。
■執筆者PROFILE
鈴木郁雄 氏
(株)ケンティッシュジャパン
代表取締役

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。その後トウキョウフォレックス証券を経て、2001年10月為替投資顧問会社(株)ケンティッシュジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある

コラム / 外為四方山話 第22回

損切りの達人を目指せ!(3)

2005年5月23日

■実戦シミュレーション編

 実際には会得することは不可能な方々にお勧めしたいのが、これから紹介する負ける法則のための実践的シミュレーションである。

外国為替証拠金取引の普及とともに、一般投資家もプロも顔負けのポジションを張る時代が到来しているが、基本的な戦略を無視するため、痛手を負う投資家が後を絶たない。利益確定はいつでも誰でもできるが損失確定には勇気がいるものである。基本に返る意味でも負ける戦略の習得も為替売買には必須条件と言える。いかなる投資家も負けを前提には考える人は皆無であるが、現実は敗者が圧倒的に多いのも事実である。所詮は人間の欲とおごりには勝てないことをわきまえるべきであり、その戦法のひとつとして、負ける為替戦略を覚えて頂きたい。

チャート分析に頼るディーラーも数多くいるが、過去の記録にこだわり過ぎて現実的にコンスタントな実績が残せず、自暴自棄に陥るディーラーが多いことは知られている。

為替市場に勝てる確率は常に50%であるがゆえに、誰でも参加しやすく、又、無責任な自己判断であると当たる確率も不思議に高まるものである。そして絶対に勝てると確信して参加する人ほど墓穴を掘りやすい相場である。短期的に見れば玄人も素人も同じスタート地点に立っているわけであるが、短距離ランナーでは最終的に勝てず、マラソンランナーの持久力と瞬発力の短距離ランナーをかね添えた中距離ランナー的な資質が勝負には要求される。損切りに関しては数々の文献でも述べられているが、頭では納得しても行動が伴わないのが現実である。損切りに打ち勝つには『負ける戦法を身につける』事が大事であり、勝つ方法を見出すことばかりに集中すると全てが挫折に繋がるのが為替相場の怖さでもある。

損切りの注意点はいかに機械的に損失確定を実施できるかに将来の利益を確保できる下地でもある。実際の取引と平衡して比較することが今回の損切り哲学を早く理解できると思われます。いつまでも同じ戦略を押し通すわけではなく、損失発生が自己啓発になり、今後の戦略に有効であり、人間の弱さと欲を露呈する前の対策のひとつとして考えていただきたい。
 

★このシュミレーションの意義はどれだけ多くの損失を出せるかに鍵があり、儲けではなく敗者が勝利者であることを、ゲームを始める前に述べておきたい。出来るならば小額でも実際の取引と平衡して売買を繰り返していただきたい。
著名なファンドマネージャーでさえ3年で消える時代でもあり、馬鹿げたシュミレーションと言われる方もいると思うが、あくまでもシュミレーションであり、損も一切なく、終了した段階で本来の自己のポジションと比較していただきたい。

 

■損切りの定義

1.金額US$100,000単位 
2.損切り50ポイント。
3.益出し100ポイント 
4.実際の売買とは逆のポジションを作る。
5.回数は最低3回は売買を繰り返すこと。
6.損切り50ポイントには仮レートを設定しておく。

ここから実践篇に入りますが目的は損失をいかに機械的に出すことですので、疑問を感じても途中で放棄することなく実行して頂ければ幸いです。損切りの幅により期間が短縮できますが、少なくとも50ポイント「50銭」 は余裕を持って実施してください。あくまでも損失を最大にすることを目的のゲームですので、途中の手順を間違えないようにすることが要求されます。

[例] 現在のドル円スポットレート 108.00〜108.05

1)円高(ドル売り)を見込めば米ドル買いになり、108.05でUS$100,000を買う。
  同時に損切り設定レベルは自動的に50ポイント下の107.55で売りをたてる。
2)米ドル下落時(米ドル売り)は50ポイントのロスが確定するまで待つ。
3)米ドル上昇時(米ドル買い)は100ポイントの益が出る109.05まで待つ。
4)ポジションを閉じた時に、改めて上記の方法を繰り返す。少なくとも3回は繰り返すことを勧める。
  繰り返しが重要なポイントであり、一回だけでは結果も分析も出来ません。
  
何故ドルを売らなければ、または買うのかという疑問が出るが、損失確定の難しさを短期間に会得するためのシミュレーションであり、売買のプロセスを楽しみながらできるはずであり、必然的に余裕が生じ、冷静に相場が読める状態になることを目的としている。要は貴方の判断に狂いが生じており、再考すべき段階でも人間の欲と願望が損失を拡大させることにつながることが証明されるはずである。そして致命的な塩漬け状態に陥ることを避けることができる。利益が出ている人は相場が悪化してもパニックには絶対にならないと思われるが、見込み利益が減少した段階で余裕から不安に変化し、ポジションを維持している間は決して平常心には戻らない。

結果がすべての世界であるが心理的にも良好な状態を長く維持させることが勝利に繋がる。そのためには損失を最小に抑えることが相場の基本と言える。そして次の展開を有利にさせることになる。

実際の取引とは全く反対の取引になりますが、最後まで実践との比較をしていただきたい。最終結果のみで判断することは好ましくなく、途中経過に意義があることを認識して頂きたい。ばかげた論理であるのは充分承知していますが、心理状態を自己分析することも今後の実践の糧になるはずである。

是非お試しください。向き、不向きが判るかも!

大きく負けた方は為替相場に向いている。チャンスには自己の考えを貫くのも必要。
収支がトントン、 迷いがあるかも、もう少し経験と勉強を。
このシュミレーションの結果で運良く勝てた人はよきアドバイザーを見つけて出直し。
つまらないと感じて途中でやめる人、
× ばかばかしい発想と行動しない人
 

(鈴木郁雄 / 2005年5月23日)


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