■「マーケットの涼風」
今までは人前で話すことがタブー視された“お金の話”。でも、バブル崩壊とともに時代は変わったのです。これからは自己責任という言葉のもとで一人一人が真剣に考えなくてはいけなくなりました。そうしたお金の話を様々な観点から考えていきます。
■執筆者PROFILE
川口一晃 氏
金融知力普及協会 主席幹事
投資教育の第一人者であるとともにテクニカル分析を通じたマーケット分析にも定評。
11年間ファンド・マネージャーとして培った経験を基に中学校からプロまでと幅広く投資教育を実践。テレビなど各種メディアでも活躍。

コラム / マーケットの涼風 第5回

お金に働いてもらう

2003年10月20日

お金に働いてもらう―貯める
 収入を増やす方法には「自分で働く」ことと「お金に働いてもらう」ことの2種類があります。もし、お金に働いてもらうのであれば、会社と同様、お金を適材適所に配置していかないとなりません。その配置、即ち、働かせる場所は更に2つに分かれています。「貯める」と「殖やす」です。そこで、今回は貯めるをみていきます。 


 貯める基本は預貯金です。普通預金、定期預金等の種類があります。そのポイントは元本(預けたお金)を減らさない、ということになります。例えば結婚資金のように2,3年先に使途が決まっているのであれば、元本を減らさないように安全に運用することが求められます。但し、現在は低金利時代ですので、時代に合った運用法を考えないといけません。 
  
貯蓄商品には「固定金利商品」と「変動金利商品」があります。固定金利商品は預けた時の金利が解約時まで適用されます。変動金利は世の中の金利水準の変化に応じて金利の見直しを行なうものです。世の中の金利は景気が良い時には高く、今のように景気の悪い時には低いのが一般的です。ということは、低金利時代に固定金利商品で預けると、今後景気が回復して世の中の金利が上昇してきても少ない利息(金利)を受け取り続けることになります。そこで、現在のような低金利時代では変動金利商品に預けた方が金利の上昇とともに金利の見直しが行なわれるので効果的です。また、仮に、低金利時に“固定金利”商品に預けるのであれば期間を短くするのがポイントです。

ここで、余談になりますが「預けた元本が2倍になるのにおよそ何年かかるか」を簡単に計算できる「72の法則」を紹介します。72を金利で割ったものがその年数になります。仮に6%で預けた場合は72÷6(金利)=12(年)、つまり12年で倍になります。現在の普通預金金利は銀行にもよりますが0.001%前後になっています。ということは、倍になるのに72000年かかるわけです。たとえ100万円を預けても1年で付く利息は10円です。ATMで時間外に引出すと手数料で105円、即ち、利息10年分以上の手数料を払うことになるのです。貯めるポイントは…「減らさないこと」でしたね。 
 
 
お金に働いてもらう―殖やす

 「殖やす」とは換言すれば「投資する」ということで、いろいろな方法があります。今回は人気のある「外貨建て商品」と殖やす商品の中心である「株式」について考えてみます。

外貨建て商品に関して憶えておいて頂きたいことは、多くの場合、収益が二重構造になっているということです。一つ目の収益は「商品自体の収益」です。ドル預金だと「年1%」というのがこの収益にあたります。仮に1ドル=100円のときに100万円を年1%の外貨預金に預けたとします。100万円は1万ドルですから1年後に100ドルの利息がつきます。この100ドルが商品自体の収益です。さて、通常はこのドル預金を円に戻して使いますが、この時に為替が1ドル=100円のままだと101万円で戻ってきます(手数料等除く)。ところが、円安で1ドル=110円になっていれば111万1千円、逆に円高で1ドル=90円であれば90万9千円となります。 
  
実は、2つ目の収益として「為替変動収益」があるのです。この収益の方が商品自体の収益よりも大きな影響を与えます。このように、外貨建て商品は為替変動(円高か円安)による影響の方が大きく、収益が変わる可能性があるということを憶えておいてください。 


次に株式です。株式の収益もプラスになったり、マイナスになったりします。投資した元本が目減りする可能性があるからと言って、ギャンブルと同一視しないでください。株式投資は、企業が成長して行くことを長い目で応援するものです。今、仮に、「働いてみたい会社に入社できる」としたらどの会社に入りますか。この瞬間、自分の持っている情報を駆使していくつかの会社を思い浮かべませんでしたか。そうした会社に入社し、長い期間働くことによって会社も成長すればいいなと思いませんか。入社こそしませんが、株式投資はその会社に事業資金を提供することで会社を応援することなのです。短い期間だけをとってみれば、いろいろな要因で株価もプラス、マイナスになったりはします。しかし、長期的には株価は業績の良し悪しで決まります。 
  
自分が応援していこうと思う会社の株式を買うことは決してギャンブルではないのです。
 

(川口一晃 / 2003年10月20日)


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