■「“突撃”為替探検隊」
為替や為替証拠金取引はまだまだ知らないことばかり。香澄ケイトが個人投資家の目線で為替に関する様々なコトについて探検しちゃいます。
■執筆者PROFILE
香澄ケイト 氏
外為ジャーナリスト
米国カリフォルニア州の大学、バヌアツ、バーレーン、ロンドン での仕事を経て、帰国後、外資系証券会社で日本株/アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転して為替証拠金取引に関する活動を開始。執筆活動の他に、インターネットラジオ「だいまん&ケイトの為替で大儲け?!」のパーソナリティー、ラジオ日経への出演やセミナー等の講師も努める。。

コラム / “突撃”為替探検隊 第7回

「金融取の挑戦、為替を上場する」 -前編-

−「為替証拠金取引(くりっく365)を探検する」−

2005年6月24日

今年は7と1がキーワードだ。7と1?それだったら“ない”ではないかだって? 実はその逆、大いに“ある”のである。何があるのかというと、今年平成17年7月1日から2つのことがスタートするのである。一つは改正金融先物取引法により為替証拠金取引に関する規制が施行される。もう一つは東京金融先物取引所(以下金融取と呼称)が個人投資家向けの「為替証拠金取引(くりっく365)」を上場する。探検隊は昨年金融取が為替証拠金取引を上場すると聞いて以来、大いに興味を持っていた。いや、探検隊だけではないですよね、皆さんだって興味深々ですよね。実際もう7月1日はマジか、じゃなくて間近である、ということで、上場前のドレスリハーサル(模擬トレード)も開始され、本番も秒読み段階に入って大忙しの金融取および「くりっく365」を探検させていただくことになった。それではミッション、スタート! 

 
 市場営業部、営業グループ長の大房弘憲さんに、まずは上場の背景や経緯からお訊きして行きたい。儲けることが究極の目標なのだから、取引所取引とOTC(相対)取引のどちらが有利なのか、それだけ分かればいいとつぶやいているそこのアナタ、まあ、読んでください、「プロジェクトF」の男達の熱い戦いのドラマの序章から。

事は、昨年6月の金融審議会金融分科会第一部会で「取引所取引における上場について関係者が前向きに検討すべき」という意見が述べられたのに続き「規制の整備および取引所上場商品の影響が相まって、外国為替に関連する取引が国民の資産運用の一環として健全に発展することを期待したい」という結論で締めくくられていたことに、端を発する。取引所はこの金融審議会の結論を受けて、公正で透明な市場の創設が必要であることに重点を置いて鋭意検討および議論を進めようとした。しかし、金先法で規制することは分かっても、取引所の中でそれをどういう風に具体化してどのような制度やシステムを作るかというのは本当に雲を掴むような話であったらしい。今までは短期金利の先物をベースにして大手の金融機関相手のホールセールの市場としてやってきた。それを50−60名の職員で本格的にリテールの市場に参入して行くためには、相当な短期間での活発な議論の連続だったと、大房さんは「これは今から思うとよくやって来たな、というのが正直な実感です」と感慨深げに振り返る。

それから、昨年10月にシステム開発が決定、新聞に金融取が為替を上場するという記事が出たことすら記憶に新しい。このとき探検隊は正直思った、本当にやるのか金融取は? その後、年末年始を挟んで物事はものすごいハイピッチで進展し、現在のドレスリハーサル(上場前の模擬トレード)で、本番までもう一歩のところまで漕ぎ着けたのである。

 取引所としての大義は「本当に透明で健全な価格というか取引を投資家の方に提供しようということです」と大房さんはおっしゃるが、非常に冒険に近いのではないかと探検隊は思う。「確かに冒険でした。でも、役員を始め職員もこういった市場を作ることの必要性を本当に感じたからこそ、これほどまでに全員一丸となって動くことができたのです。外部から動かされて、全くどんな商品か分からなくて、果たしてこれが投資家に売れるんだろうかなどと、例えば営業グループ長をしている私がそう思ったとしたら、本気のプロモーションは出来ないはずです。私自身もこの商品の成功に自信を持っていますし、様々なプロモーション活動の過程でこれが確信に変わっていくのを実感しています。一種の病気になったくらいの気持ちで、健全な市場を、自信を持って提供し続ければ、この分かりやすく、取引所取引ならではの優位性を秘めた商品はもっと伸びるだろうと、信じたからです。」

2005年3月期で証拠金の預かり残高は約2,800億円(矢野経済研究所推定)とされ、約定価格ベースでインターバンク市場の取引高の約一割にまで成長していると予想される為替証拠金取引のOTC市場がここまで伸びてきたことは大変に素晴らしい、と大房さんは言うが、まだ十分余地有りと考えているからこそ、新たな特徴を持った取引所取引を出現させようとしているのだ。

既に金融取や「くりっく365」取扱予定業者(6月20日時点で6社、その内ドレスリハーサルを行っているのは2社)のHPを閲覧なさっている投資家の方は、おおよそこの商品の特徴を捉えていらっしゃると思う。特徴つまりメリットは、有利、安全、低コストの三点に大きく分類される。その中で、まず総体的な取引のコストをよく投資家の方に知っていただきたいと大房さんは強調する。それではこの総体的コストのブレイクダウンを考慮してみるとしよう。
 
@スプレッド−ドル円だとほぼ3銭。1銭あたり100円程度コストが違うということを認識して欲しいと言う。
 
Aスワップポイント−売り買いの区別なく一本値で透明性という点も重視している。元来、業者サイドの収益として法律上スワップポイントを抜くことは問題ではないにしても、取引所は自分のところの利益分として調整することはなく、売りと買い両方に有利なようにその真ん中を取り一本値にしている。投資家にはスプレッドのところで何百円かのコストが発生し、スワップポイントで売り買いに差があることくらい普通だと思っている人が多い。まあ、探検隊もそれも仕方がないコストの内くらいかな〜、なんて考えていた。
 
そしてB手数料−取扱業者の自由設定なので、各々に相違があるが、取引所としては低い手数料で業者の負担を軽くしている。従って総体的なコストは少なくともイーブン、場合によってはOTC業者よりは安くなることも考えられるのである。 
(後編へ続く)


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